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スレッドNo.5699

アイビーの俳句鑑賞 その1

アイビーの俳句鑑賞 その1

草引くや屈む背中に青時雨 (ヨヨ)
上五で切れが入っているが一物仕立ての句。雨が降り出した。俄雨に近い雨なのだろう。農作業の途中だったが、本降りにはなるまいと作業を続けた。中七の「屈む背中に」としたのが上手い。実際に作業をした者の実感がよく表れている。

合歓の花長電話して夫の愚痴 (えっちゃんあら)    
携帯電話でいつでも、どこでも電話ができる。と言って、話題は無限大にあるわけでもない。そのうち、お定まりの亭主の愚痴になる。延々と愚痴が続くが、聞く方もそのつもりで聞いているから、ごく穏当な結論になる。予定調和である。合歓の花がよい味を出している。

海底に数多の遺骨沖縄忌 (ABCヒロ)
連合軍が沖縄に上陸したのが昭和20年の3月26日。日本軍が玉砕した6月23日を沖縄忌と言う。この間3か月、沖縄全土で激烈な戦闘が繰り広げられた。民間人の死者だけでも20万人以上という凄惨なものだった。その沖縄戦で犠牲となった数多の人達への鎮魂の一句。

夏場所や母のベッドの背を起こし (ふうりん)
身動きが不自由な母のために、相撲のテレビが見やすいようにとベッドの背中の部分を起こしてやった。結構、複雑な動作を、読み手に分かりやすく描写した。これは意外に難しい。しかも肉親に対する情愛を、作者は一切言っていない。それが却って、この句を味わい深いものにしている。

畦道は暮らしの道よ行々子  (森野) 
畦道は言うまでもなく田と田を仕切るものだが、作者の場合は生活道路でもある。ちょっと用足しに出かけるのに通る。近所の人に会えば話に花が咲く。あるいは子どもたちの通学道路であるかもしれない。これだけの記述で、作者の住む共同体のありようが分かるというものだ。現代人が失くした人と人との触れあい、温もりが存在する。行々子はヨシキリのことで、夏の季語。

クレマチス咲いて老舗の若女将 (ヨシ) 
クレマチスは鉄線花のことで、今の季節に大輪の花を咲かせる。どの業種かが分からないが、読み手の側は、きっと客あしらいのてきぱきとした、明朗な若女将の人物像を思い浮かべる。なぜか。とりもなおさず、クレマチスのイメージなのだ。季語に語らせる手法はお見事。

夏やさい自助自立への老いの鍬 (和談)
専業農家ではないが、趣味と実益を兼ねた野菜づくりに余念がない作者。気力、体力ともに充実した老後だ。「自助自立」の生活設計に揺らぎはない。夏やさいに託したご自分の信念を述べられた。長寿社会のひとつの理想像で、つくづく羨ましい。

以下次号、不定期掲載

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アイビーさん、クレマチスの句を鑑賞して下さりありがとうございます。
老舗の肉屋の若女将を詠みました。ここは県外から寿喜焼や網焼きを食べに来る人でいっぱいです。この店に去年お嫁さんが来て注目していました。美人で健康的で声の美しい人です。一年経って堂々としてきたなぁと思い句にしました。なんとなくクレマチスと合わせたかったのです。

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アイビー様 合歓の花長電話して夫の愚痴  を鑑賞していただきありがとう😆💕✨ごさいます。天国の夫の愚痴でした。皆様の素晴らしい俳句を何度も詠んで感動しています。ありがとうございました。

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