選句観賞
46 八月の悼みごころの靴並ぶ(えっちゃんあら)
8月は新盆をはじめ、仏事が多いのでとても光景が身にせまります。
そんなとき、私は線香をあげにきていただいたお客様の靴をそろえる役目でした。
季語は新盆や で切って、悼み心は悼む心 でよろしいのでは。失礼御容赦ください。
82 マスカット一房囲む甘さかな (ふうりん)
これはマスカットの甘さとその場の甘やかな雰囲気を詠んだ句ではないでしょうか。
マスカットにやや比重を置いて、下五をあまやかさとしないで逆に場の余韻が残りました。
ほんのり幸せな気分にさせていただきましました。
86 表札はローマ字表記秋の薔薇 (弥生)
かっちりとした造りの洋館風の家がみえてきませんか。
それはローマ字表記という措辞の固さと薔薇という季語の揺るがない名詞のなせる技。
けれんみのない、よき写生句。自分しか採らないとおもっておりましたが、比延さんが採っておられうれしいです。
88 太陽のコロナ閉じ込めスイカ玉 (てつを)
今年のスイカは炎暑に耐えてだけあって、甘さが凝縮されていますね。
さて、スイカは太陽そのものと気付かされました。紅い実はコロナ、種は黒点ではないですか。
94 御所東膳を揃えて生身魂 (ラガーシャツ)
御所東は京都市街地の名称でよろしいでしょうか。 敬うべき年長者のことを生身魂というのを知りました。。
地縁なのか帰省の句なのか、縦書きにしたら字面が格調ありますでしょ。
口ほどに字面はものを言いますのでいただきました。
112 奪衣婆の乳房あらはに黴の堂 (アイビー)
じめっと怪談めいた雰囲気。
最初、三遊亭圓朝により創作された怪談「乳房榎」をおもいました。
乳房榎は女の業、しかしこの句の根底は諧謔のおもしろみを秘めております。
なので、黴はつきすぎかなあ、夏の堂くらいで。
114 藍浴衣男嫌ひをとほすかな (えっちゃんあら)
藍色の単色に托されたお気持ち、すがすがしいです。つけます
藍浴衣男嫌ひをとほすかな 愛想尽かしの八ツ橋となり
歌舞伎の八ツ橋はいいひとがいて男嫌いではないですが、ごめんなさい。
取り急ぎ、意味不明、誤字脱字お許しください。
かをりさん、鑑賞ありがとうございます。
薔薇と洋館ではつきすぎてしまうので、何となく洋館をイメージできるような言葉を探しました。
景を想像していただけた様で嬉しいです。
弥生