すべて受け入れていたら思春期の行動が長引きやすい?
Q0359
心理学カウンセラーさんのお話で、思春期の子どもとの接し方で、親が子どもの壁になってラインを引かず、すべて受け入れていたら思春期の行動が長引きやすいと聞きました。アドラー心理学ではどう考えるのですか?
A0359
どう考えるんでしょうね。ラインを引かないと子どもはどんどん悪い子になるだろうと思いますし、ラインの引き方が問題だと思います。
親子関係が良いとしましょう。「相互尊敬、相互信頼、協力、目標の一致」の状態で思春期は入ったとすると、子どもは親のイヤがることはしないでしょう。親子関係が悪いと、子どもは親のイヤがることを選んでするでしょう。問題は親子関係が良いか悪いかです。ですから思春期より前に、できたら小学生くらいでちゃんと大人としての「相互尊敬、相互信頼、協力、目標の一致」という関係を築きます。それで、中学あるいは思春期に入ると、いわゆる「反抗」はありません。別にこちらは何も強制しませんから。ただ意見は言いますよ。「勉強したほうがいいよ。どうしてかというと、あなたはほんとに才能はあるけれども、才能は磨かないと絶対に伸びないからね。今のままでずーっとおじいちゃん、おばあちゃんになるだけだから。勉強したほうがいいよ」と言いますが、親子関係が良ければ、「そうね」で終わり。親子関係悪いと、「フン、勉強してやるもんか」と思う。「関係」の問題であって、「ライン」とかいう問題じゃないと思う。親の願いを子どもに冷静に伝えれば、子どもはたぶん話を聞くでしょう。聞かないかもしれないけど、それは子どもが判断する。
子どもが自分の人生を決めていくときに、親の意見とか教師の意見とかは参考資料としてとても重要だと思う。友だちの意見も重要だと思う。方々から意見を聞いて、その中から子どもが選ぶしかないわけで、誰の意見も聞かずに、自分で考えられるわけがない。人間て、どこからか学ばないと、材料がないからね。情報を外からインプットしないと、中に作り付けの情報発生マシーンはないから。そこで、悪い友だちの言うことを聞くか、親の言うことを聞くかは、関係次第です。友だちとの関係が良ければ友だちの言うことを聞く。親との関係が良ければ親の言うことを聞く。要は、良い関係を保つこと。良い関係を保った中で、親の道徳観念というか、モラルというか、そういうのを折に触れて話していく。ラインを引くとか引かないとかいう考え方そのものが、あまりアドラー心理学ふうでないと思う。(回答・野田俊作先生)