論語でジャーナル
17,曾子曰わく、吾諸(これ)を夫子(ふうし)に聞けり、人未だ自ら致す者有らず。必ずや親の喪か。
曾子言われた。「私は先生(孔子)からこのように聞いている。「人間の行為のうち、自力だけで究極まで行けるものはない。必ず学問なり教養の助けを借りてはじめて究極に近づける。しかし、この原則にはずれるものがある。ほかでもない、親の喪における態度である。自己の内心から湧き起こる悲哀、それのみによって究極の完全な態度に到達できる」。
※浩→今までの子遊・子夏・子張らは孔子の言葉をそのまま引用しないで、自分の解釈をつけて自分の言葉として語っていましたが、曽子は孔子の死後、教団を相続したので、常に孔子背景として発言することになったでしょう、と貝塚先生の解説です。親の喪については、莫大な遺産を残しているような家では、残された子どもたちによる遺産分与争いが、映画やドラマで描かれていますが、ああいうところでは、故人への哀悼の気持ちなどまるでないかのように感じられます。凄まじくおぞましいです。映画『犬神家の一族』の4Kリマスター版が「日本映画専門チャンネル」で放映されていました。これまで何度も見た映画ですが、また観直しました。画面がとても鮮明になっていて、しっかり楽しめました。最近は、NHKでもかなり本格的な作品が作られて、金田一役は吉岡秀隆さんで犬神家長女役は大竹しのぶさんでした。この大竹さんの長女は鬼気迫る名演技でした。犬神家の莫大な遺産をめぐる凄まじい親族争いで悲惨な事件が起こるのですが、ストーリーはともかく、亡くなった往年の名優が大勢出演されているのが嬉しかったです。まず高峰三枝子さん。それから三國連太郎さん。三國さんは冒頭に出るだけですが、凄みがありました。刑事役の加藤武さん、弁護士役の小沢栄太郎さんもまさに適役。犬神家長女(高峰三枝子さん)の息子の恋人で婚約者の島田陽子さん。さらには犬神家次女の息子で殺される役の地井武男さん。神主役の大滝秀治さん、金田一が宿泊する宿の女中役の坂口良子さん。犬神家長女のお琴の師匠役・岸田今日子さん。宿の亭主役の三木のり平さん。蒼々たるメンバーですが、どなたも既に故人です。現在活躍中の方は、金田一耕助役の石坂浩二さんと三女役の草笛光子さんくらいですか。長女の息子役のあおい輝彦さんはとっくに引退されていて、消息は不明です。これからも時々録画保存版で観るつもりです。故人が現在もお元気で活躍されている錯覚でもいいから、身近な存在としていていただきたいです。渡瀬恒彦さんなんか、「おみやさん」「十津川警部もの」「タクシードライバー」で今もしょっちゅうお目にかかっています。