教室に座っていられない子
Q
小学校2年生の男の子です。教室で座っていられないときに教頭先生に連れられて教室外に出ます。そのときに「自分をころせ」などと言います(野田:「よし、ころしてやろう」と言ったらどうするかな?)。教頭先生はその子を保健室へ連れて行きます。その子にどんな声かけ対応をしたらいいかいつも考えていまいます。今はじっと黙ってその子を見つめることしかできていません。落ち着いたらおしゃべりをしたり、教室に一緒に帰ります。その子に「能力がある」と思ってもらうためにどんなことができますか?
A
あのー、こんな子に話しかけなくていいです。今日は、たぶん学校の先生、それも中学校かな、小学校の先生もいるかなと思って話をしていますが、保育所とか幼稚園とかだと、子どもが喧嘩をしたら、2人の先生がその子たちのところへ行って、喧嘩はほっといてもいいけど怪我させたらいけないから、2人の先生が引き離して、子どもを別々の場所に連れて行って、ニコニコしながら何も言い聞かせないで、落ち着くまで待って、「もう喧嘩しないでいられる?」と聞いて、子どもが「うん」と言ったら釈放します。それだけです。「なんで喧嘩したの?」とか「どうしたら喧嘩しないでいられる?」という話を一切しません。これが正解なんです。「なんで喧嘩したの?」と聞いたら、「相手が悪い。自分が正しい」と言うに決まっている、両方が。「これからどうする?」と言ったって、ろくなこと言いませんから。喧嘩したら捕まえて離す。危ないことしてたら捕まえてよそへ連れて行って落ち着くのを待つだけの動きをします。これはタイムアウトですね。「あー、これはしてはいけないことなんだ」とわかってくれればそれでいいから。「してはいけない」と言うこともないです。2人を離すんだから。うっかりここで「あれはしてはいかんよ」と言うと、先生が陰性感情を持って子どもたちを罰してしまいそうに思う。だから、何も言わないで引き離しておいておくのが正解なんです。この教頭先生はとても正しい行動をしていると思う。クラスの中を立ち歩いたら、とにかく引き離して落ち着いて最後、「もう座って授業受けられるか?」と聞いて、「うん」と言ったら釈放で、「ううん」と言ったらしばらくまだ拘留する。話をしない。それを受容と共感で、子どもの話を聞いてやると「特権」を与えていることになる。クラスの中で不適切な行動をすると、僕だけ特別に話を聞いてもらえる。むしろ「不利な状況」を与えないと、子どもは結末を体験しないから、とにかく隔離して落ち着くのを待って、その間何も話をしないで、「もう座っていられる?」と聞いて「うん」と言ったら帰す。それだけでいいんじゃないですか。(回答・野田俊作先生)