中2息子に勉強の大切さを
Q
息子中学2年生、2人きょうだい2番目。姉は中学3年生。妻と息子の間で勉強について争いごとが頻繁に起こります。基本的に勉強はあまり好きでない息子です。以前から興味を持つと成績がアップする子なので、楽しく勉強してくれたらと思うのですが、妻がテストの成績に敏感に反応して喧嘩になってしまいます。妻の気持ちもわかるのですが、息子自体何とかしようとする気持ちが見えているので、僕としては静観することが一番だと思うのですが、2人の権力闘争でまわりが少し迷惑しています。勉強が大切だということを息子に伝えるにはどうしたらいいでしょうか?
A
中学2年生、3年生になると将来計画を決める時期だと思うんです。大人になったら何をするかというのは、小学生ではまだもひとつイメージできないんです。小学生には未来はない。今ここに生きている。未来のイメージは、観察して見ていてもわかるし、発達心理学者が書いているものを見ても、5年生くらいからちょっとずつできるみたい。わりと明確にわかってくるのが中学2年生くらいかなという気がする。それくらいから、大きくなったらどんな仕事に就くかの話を始めて、それに併せてお勉強を考えるんです。お勉強がいるタイプの未来像だったらお勉強するし、お勉強がいらないタイプの未来像だったら、お勉強しなくてもいいでしょう。昔、うちの娘に数学を教えたんです。理科系出身の親父の悲しさで、「数学・物理・化学なら任せて」と(高校3年生まで家庭教師ができたので)、高校で数学を採ってくると思ったので複素数(虚数と実数の組み合わせ)のややこしい計算を教えておいた。「これ、入試に出るの?」と聞くと、「数学採らない」と言う。「数学採らないんだったらこんなものにエネルギーを使わないで。この複素数というのは、これから先一生絶対に役に立たないから。理系へ行って工学者とか理学者になるんだったら、絶対必須科目で必要です。でも理系へ行かないんだったら、この計算をすることは二度とないから、もう忘れなさいっ」て。勉強ってそんなもんなんです。今の高校は変なことをしている。新制高校ができたとき、中学から高校への進学率が36%だった。今は90%以上です。なのにカリキュラアは基本的にあまり変わっていない。人口の36%の昔のエリートさんに教えていたことを、今90何パーセントの子に教えていて、多くの子には必要のない複素数の計算だとか漢文を読むだとかをやっている。「子曰く…」を高校出てから、普通の人は読まない。読みたい人は自分で読みますし。すごく無駄なことを教えている。それは仕方ない。文部科学省がそう言うならつきあうけど、親や子としては「自分の将来像」をまず見据える。これはほんとに将来いるのかいらないのか。いらないことにはあまりエネルギーを使わない。いることにエネルギーを使う。将来お百姓さんになるんだったら、お百姓さんに関係のあることをやる。将来お商売をやるんだったらお商売に関係のあることをやる。サラリーマンになるんだったらサラリーマンに関係のあることを、お医者さんになるんだったら、お医者さんに関係のあることをやる。お勉強に関係のある将来像なのかそうでないのかをはっきり区別しておいたほうがいいし、中学3年生までは確かに義務教育でこの世で生きる算段を教えてくれるかもしれないけど、高校からはそうじゃない。だから将来を見据えて、いるものはしっかりお勉強しましょう。いらないものはまあ「赤点取らない程度に勉強しましょうね」と言っていていいじゃないですか。(回答・野田俊作先生)