問いかけても真面目に答えてくれない生徒
Q
260人くらいの規模の小学校の教師をしています。今の学校の子どもたちに「あなたにはできることは何かな?」と問いかけても、真面目に考えてくれるとは思えません。自己中心で勝手なことばかりしています。真面目に考えてくれるまでには、子どもたちとある程度良い関係ができてないと難しいと思います。今日お話になったことを地道にやっていけば問いかけに答えてくれるようになるのでしょうか?そのあたりをもう少し詳しく教えてください。
A
一番最初に考えることは、「真面目に考えてくれるとは思いません」という言い方をやめることです。こっちが悲観的だったら何も起こりません。絶対真面目に答えてくれるはずだと思ってないとね。人間には気迫というものがあって、気力というものがあって、パワーというものがあって、そういうものを持っているか持っていないかで何もかも違います。「この子たち、どうせ私がどんなに一生懸命やったって絶対答えてくれない」と思っている教師に答えてくれるわけがない。「絶対に答えてくれる」と思っている教師には答えてくれるでしょう。それは結局教師の気迫なんです。リーダーシップということを忘れていると思うんですよ。リーダーシップというのは、決して強権でもなければ暴力でもなくて、僕らの持っている理想であり夢であり気迫なんです。僕たちが良いクラスとか良い学校とかのはっきりしたイメージを持って、「それに向かって行こうね」という決心があれば、絶対子どもたちはついてくる。なぜかというと、人間は人の役に立ちたいから。人間はみんなで一緒にいたいから。人間はみんなから感謝されたいから。これは僕たちが忘れかけていることなんです。世界全体が忘れかけていることなんです。アメリカの金融バブルがはじけました。なんで金融バブルなんかが起こったのかというと、お金儲けはいいことで、いいことはお金儲けだと思ったから。お金儲けは悪いことではないけれど、お金儲けは人間の幸せを作らない。何が人間の幸せを作るか?困難な目標に向かってみんなで協力してそれを達成したこと。仲間が一緒にやったなということが人間の幸せを作ると思いませんか?それは学校のクラスでもそうなので、みんなで一緒に難しいことができたねということが、幸福を作るんです。それは別にスポーツだけじゃない。あらゆることについて。ガサガサしてて荒れてたクラスが、「みんなの課題として静かに授業を受けて楽しく勉強できる環境を作ろうね」と言って、それが1学期の間に達成できたら、そのことがみんなを幸福にするんですよ。人間は一度そのことを体験すると、もう大丈夫です。それから先必ず協力できるようになります。だから今まで一度も体験してないのかもしれない。でもそれを体験させるのは教師の目標であり、熱情であり、努力です。(回答・野田俊作先生)