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スレッドNo.290

託児所で戸惑う子、集団に入れない子

Q
 4月に開設した託児所でこの春から勤務しています。新しい環境で、子どもたちには戸惑いや不安があると思いますが、それを取り除くにはどんな方法が良いでしょうか?また、集団の中に入っていけない子どもに、どんな問いかけをするとよいでしょうか?

A
 託児所っていうのが何歳かわからないんです。その発達上の問題があって、ここでお話したようなやり方は、一応5歳児以上だと思っています。僕たちが問いかけをすることで、「あなたには何ができるかな?」と言って、子どもが「こうしようかな」と言ってくれる力ができるには、因果関係というものが理解できないといけない。「私がこうすると結果はこうなるだろう」とわからないといけない。因果関係はいつから理解できるかというと、発達心理学の先生によると、5歳なんです。しかも、5~10歳は、僕たちがそのことについて問いかけをしないと自分であまり因果的に考えない。だいたい10歳くらいから、問いかけをしなくても、自分の力で「こうやると結局こうやるとこうなるな」って因果的に考えるようになる。5歳児以上は今日ご説明したやり方で動く。それより年下の子は動かない。「あなたには何ができる?」と言えば「あー?」と言われるだけで、全然変なことを言ったりする。一生懸命考えてくれたらいいと思うのに、「それはないでしょう」というようなことを言ったりする。何か童話的な世界に生きているから、僕たちの日常的な因果関係とは違う感じのことを答えるかもしれない。年齢によってできることが違うと思います。かつ、就学時のレベルで集団に適応できないのはあまり心配しなくていいと思う。発達によって解決できる課題が結構多いから。私自身は幼稚園に2年行きました。1年目は全然不適応で、全然クラスに行きたくなかったし、馴染めなかった。2年目になると、自然に馴染めた。何でかというと、ただ発達したからです。集団生活できるところまで精神発達してなかっただけだと思う。年齢的なことを考えると、クラスに溶け込めないということをそんなに重大視しないでください。そのうちできるだろうと思っていたほうがいい。そのために特別な働きかけをいっぱいとると、特別な対応が欲しいためにいつまでも溶け込まないという作戦を取るかもしれない。
 発達によって解決できる問題を大急ぎで解決しないほうがいいといつも思います。学校教育の1つの問題点が、教科の話ですが、同じ年齢の子に同じことを教えるというのが、ときどき大失敗するんです。私もそうだったんですが、中学の1年の終わりか2年の初めかに数学で因数分解というのを習ったんです。あれがわからなくて、なんでこんなことをするのか、黒板に意味不明の文字が並んでいるだけなんですよ。半年すると完全にわかりました。半年間大変だったんです。因数分解わからないから二次方程式がわからなくて、二次方程式がわからないからあれわからないこれわからないと数学の成績は最悪で、具合が悪かったんですが、6か月しないくらい、2年生の秋学期くらいになると、「あーそうか」とわかった。なんでわかったかというと、脳が発達したからです。「形式的操作」と心理学者が言うんですが、抽象的なものを抽象的なままで扱う力は脳の発達でできるんです。脳がそこまで発達しないと、ただ記号をあっちへやったりこっちへやったりする意味が全然わからない。だから半年待ってから教えてくれれば最初から数学の成績良かったのに、発達より早く教えられたもんで、私早生まれ(3月)生まれなのでちょっと早かったものですからしんどい思いをしました。それは多くの子にあることだと思う。発達で解決することを今ギュウギュウと教え込もうとしないほうがいい。少しあとでもいいことならあとにすればいい。今の、集団適応の問題も、もうちょっと様子を見てから考えたほうがいい。それから、託児というのが未就学児であれば、私は未就学児に知的な教育をする必要なない論者なんです。早期教育は無意味だと思っています。例えば、英語なんかの早期教育とか言われていますが、統計結果から見ると、早くから英語を学んだ子と、中学校へ行ってから学んだ子と、ハタチ過ぎてからの英語能力とは全然無関係です。英語を使う運命になった人は英語が上手になるし、英語を使う運命にならない人は英語が上手にならない。それだけなんです。私は一応英語でしゃべる、英語で書く、英語で読む人で、まあアメリカ人ほどとは言わないけど、英語でグループに出て、グループの中でいろんな話をしたり、討論したりするのにそんなにしんどくないんです。英語で論文も書きます。今、英語でブログを書いているんですが、そんなに苦痛じゃない。じゃあどこで勉強したかというと、学校でしかしてない。中学1年で始まって、それまでまったく知らなかった。中学で「へえ?」って思って勉強して、成績はそんなに良くなかった。まあまあ中くらいで、大学行っても、英語の文学の授業は難しかった。どこでしゃべれるようになったかというと、結局研究室へ入って英語の論文を山ほど読まなきゃならなくなって、読まなかったら全然話にならない状況に追い込まれて、そこで3年5年やっていると、イヤでも読めるようになるし、自分で国際学会なんかで発表すると、質問されるんですよ、具合が悪いことに。質問されると何言っているか聞かなきゃいけないし、こっちも答えないといけない。そしたら現場の必要で英語が上手になるだけなので、早期教育は全然関係ない。だから、楽しく遊べる時間を作ればいいと思う。あまり下心を持たないで、みんながくつろいで遊べる時間を持てればいい。それで決してバカにはならないから。(回答・野田俊作先生)

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