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スレッドNo.301

高校浪人中に乱暴だった息子を信頼できるようになるか?

Q 
 子どもが高校浪人時代に家具を壊したり物を投げたりしてきました。アドラー心理学を勉強してきたのですが、彼がしたことに被害者意識を持っています。心から信頼できるようになるでしょうか?

A
 「なるでしょうか?」「明日は天気になるでしょうか?」みたいに他人事みたいに言わんといてよ。信頼するとか信頼しないとかいうのはどっちも嘘なんですよ。アドラー心理学というのは面白い考え方をしていて、ほんとのところはまず人間には知りえないと思っている。例えば、僕に奥さんがいたとします。「山登りするからお弁当を作ってよ」と言ったとします。「いいよ」とお弁当を作ってくれたんです。そのお弁当がわりとおいしかったりして、妻に愛されていると思ったとします。自分は妻に愛されていると思うから、それから妻とのつきあい方が変わります、その分だけね。また「ピクニック行くか山に登るからお弁当作って」と言うかもしれない。でも、おいしいお弁当を食べたけど、これちょっと塩分多いし、少し脂肪多いし、私の血圧を上げて殺そうと思っているんじゃないか。そういえば最近生命保険に入ってたなというと、あの妻は私を殺そうとしているだと思うじゃないですか。そしたらその妻とのつきあい方が変わりますよ。あるいは、おいしいな、そういえばこの前料理番組見てたから、あれを真似したかなと思うかもしれない。別に私を愛しているからじゃなくて、たまたまテレビ見てたらこれ面白そうだから作ろうと、自分の楽しみだけで作った、「あいつあんな奴なんだな」と思うと、そうやってつきあいますね。そうやってつきあってくることが次々重なってくるでしょう。どうもうちの妻は自分を殺そうとしているようだと思うと、次、その証拠を集めます。何だってそういうふうに見えるから。「お茶入れて」。「渋いな。これも心臓を悪くしようと思っている」とか思うかもしれない。「あいつは何だか新しい物に食いついてはさかんに私を実験台に使うな」と思うとそう思うし、「私のことを深く愛してるな」と思うとそう思うから、その証拠を集めてだんだん確信してそのようにつきあうと、彼女もそれに対して応答してくるから、ほんとに実現してくるわけね。愛されてるなと思うとほんとに愛されてくるし、殺そうと思っているなと思うと、ほんとに殺そうと思っているようなギクシャクした関係になっていくわけです。で、一番最初の根拠はないんです。最初のは誤解なんです。ここでの信頼とか信頼しないとかどうやったら不信感を取れるかという「不信感」は誤解なんです。ただ勝手に思い込んでいるだけなんです。それから「信頼関係」も誤解なんです。それも嘘なんです。どっちを思うかは実は何の根拠もなしに決められるんです。いっぺん決めたら、長いこと信頼できませんから、三日間くらい、今日から三日くらいとにかくあの子を信頼してつきあおうと、腹立つし不自然だし悔しいけどやってみようと思って、三日つきあうでしょう。三日つきあうと疲れます。だから四日休むんです。また三日つきあうと、その三日はちょっと楽です。そうして練習を繰り返してだんだん上手になっていかれたらどうですか?そしたら息子さんの出方が変わってくるから。こちらが変われば。そうしたら信頼できるようになる。それも誤解の産物なんですがね、最終的には。でもいいじゃないですか、美しい誤解のほうが醜い誤解よりも。(回答・野田俊作先生)

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