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スレッドNo.332

いい嫁と思われたくて……

Q
 86歳になる主人の母と同居しているんですが、私はいい嫁、いい母とかでなくてはいけないと思って頑張ってきたんですが、ここ5,6年は自分自身であまり無理をしたくなくなってきて、私自身がやりたいようにやろうと思いました。主人や子どもにはそれがかえって良かったのですが、母は戸惑っているかもしれないと思うんです。まだ自分でできるので、母から頼まれないことはこちらからはしないようにしているんですが、もしかしたら冷たい嫁と思われているんじゃないかなどと思います。
 私が年を取ったときに余計なことと思えるようなことはしたくないと思うのですが、それを明治生まれの母にしていることに少し罪悪感を感じるのです。

A
 この人はもう一度「いい嫁」をすることができるんでしょうか、できないんでしょうか。できないんだったら、しょうがないよね。
 僕が病院に勤めていたときは、当然おじいちゃんやおばあちゃんたちも診ますわね。特に入院していて少しボケがあるおじいちゃんおばあちゃんたちに、面倒見てあげるとどんどん駄目になっていくんです。おじいちゃんおばあちゃんが、少しご機嫌が悪いくらいが元気で長生きなさるから、少しご機嫌を悪くするくらいの嫁は、いい嫁だったりするんです。自分が年を取ったときにされたくないことはしないとか、自分が年を取ったときにしてほしいと思うであろうことはするというのは、いい判断の基準だろうと思います。「私は年を取ったときにこうしてほしいけど、あのおばあちゃんにしてあげるのはイヤ」というのは、フェアじゃないと思うのね。おばあちゃんの本当の気持ちというのは、結局わからないですよ。僕たちがどんなことしても、それでおばあちゃんが満足なさるかなさらないかは、僕たちが想像するだけでしょう。だとしたら、自分はどうかで判断するよりないですよね。
 お年寄りの自立というのはどういうことかというと、頼みたいことがあったら僕らに頼んでほしいということ。黙って期待しないでほしいということ。僕たちも年を取ったらそうなりたい。例えば、人に頼れないお年寄りというのは困るんです。老人病院とか、老人ホームの介護者とか、あるいは医者とかにとって、一番困る老人というのはどんな人かというと、何でもかんでもべったり頼ってくる老人ではなくて、世話をさせてくれない老人です。できないのに絶対自分ですると決めて、絶対頼まないで全部失敗するお年寄りね。これは困るんですよ。だから、自分でできないことをはっきり認めてほしいんです。そして、それを僕らに気軽に頼んでくれるタイプの老人というのが、自立したお年寄りだと思う。
 やがて僕らも寝たっきりになったりして、シモの世話も人にしてもらわなくてはならないかもしれない。そのときには、観念して世話をしてもらおうと、今から決めておいたほうがいいと思う。イヤだけど仕方ないね。でも、そう決めてるほうが自立しているんですよ。「自分でできる間は全部自分でしよう、そしてできなくなったらあっさりそれを認めよう」と決める。そのときに、「私はこんなに駄目なんだから、当然あなた方が面倒見てくれていいでしょう」とは思わないでおこう。ちゃんとそれは感謝すべきですからね。(回答・野田俊作先生)

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