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スレッドNo.340

子どもを信頼したいが落ち着かない

Q 
 子どもを信頼して待とうと思うのですが、心がなかなか落ち着きません。何か良い方法がありますか?

A
 親が不安なんですね。これは心理学の責任が大きいと思う。日本の育児を駄目にしたのは、その責任の半分は心理学者にあると思う。間違ったことをたくさん教えすぎたから。 戦後、発達心理学とか児童心理学とかがどっと入ってきて、間違った知識を広めてしまった。例えば、3歳までにスキンシップをしてあげないと一生駄目になるという知識です。あるいは、子どもの気持ちをわかってあげることが絶対必要で、子どもの気持ちをわかってあげないと子どもは駄目になるという知識です。これらはまったくウソなんです。
 乳児期には母親とのつきあいしかないですね。そのときに不幸なことにお母さんが間違った育児をいっぱいして、その結果、子どもの性格に大きな傷を与えてしまったとします。そうしたらどうなるか。次の幼児期に、お父さんやきょうだいと良い関係が持てたら、母親との傷は全部ご破算です。それも駄目だったとしても、児童期に小学校で良い友だちグループに入って一緒に遊べれば、子どもの過去の傷は治ります。また、児童期にも良い友だちができなくて傷が残ったとしても、思春期になって同性の友だちができて、その友だちとじっくり良い時間が持てれば治ります。それも駄目だったら、やがて異性のパートナーができて良い関係が持てたら治ります。それでも駄目でも、良い精神科医やカウンセラーに出会えれば治ります。
 これはなぜかというと、人間には「正常になる力」があるからです。僕らの体がそうです。どこか怪我をしても自分の力で治っていくでしょう。医学はすごく発達しましたが、実は医学は治してないんです。実は体が自分で治しているんです。外科手術をしても、内科の薬を使って抗生物質でバイ菌をころしますが、バイ菌をころすから治るんじゃない。バイ菌をころしておいたら、体が自分の力で立ち直っていくんです。自然治癒力を最大限に発揮できるように持っていっているだけです。
 人間の精神もそうです。いつも健康になる大きな力があるんです。われわれの育児とか教育というのはときどき間違って、それを邪魔してしまう。邪魔する力をなくすれば、それは必ず正常に自分の力で戻ってきます。すべての対人関係は、それが良い対人関係であれば、人間は正常のほうへ行けます。ですから、3歳までの育児を間違えても、あるいは中学何年生かまでの育児を間違えても、今日からその子が良い関係に入っていけば、必ず良い方向に変わっていきます。
 子どもが小学校1年生から4年生の間であれば、もう親の力というのは、親が悔い改めたとしても、そう大きくはない。40パーセントくらいですか。60パーセントは学校での友だちとの関係、または学校の先生との関係で変わっていく。時間的にもそうでしょう。その子たちが起きていて一緒にいる時間は、親との時間よりも学校の友だちや先生との時間のほうが長いですから。
 中学生くらいになると、親友との関係とか異性との関係とかのほうが、その子たちを癒していく力が大きくなってきます。それを決して邪魔してはいけない。だから、まずその子の正常になる力を強く信じること。これが、親が落ち着く最大の方法です。
 僕たちが普通イメージするいい親というのは、ほんとはメチャメチャ悪い親です。子どもの気持ちが何でもわかって、子どもに対してどんなことでも手伝ってあげる親というのは、ものすごく子どもを駄目にする親です。子どもに向かって、「あなたは大人にならなくていいのよ」と伝えているのと一緒だから。逆に子どものやることにことごとく反対して、全部やる気をくじいてしまう親も悪い親です。
 子どもを援助する力がまったく低い親というのがいます。子どもに何も関心がないし、邪魔者だと思っているような親は、子どもを援助する力は低いです。
 それから、ものすごく子どもに関心があって、子どもを何とかしてやりたい、子どもが心配で心配でしょうがない、かわいくてかわいくてしょうがないという親も、結局子どもを援助する力が低いんです。真ん中へんで何だかそこそこに子どもとつきあっている親というのが、子ども側から見れば一番良い親です。だから、皆さんは心配しなくても、努力さえせずに、心配さえしなかったら、いい母親でいられます。
 人間の母親というのは子どもを育てる力を持っているんです。そうでしょう。われわれは今まで10万年間子どもを育ててきたんです。ですから、僕たちは子どもを育てるように作られています。焦らなくていい。慌てなくていい。
 子どもは叱って育てなければいけないなどという、古い封建時代の名残りのような知識や、一方では新しい時代の間違った知識、スキンシップだけが絶対で、気持ちをわかってあげないと、理解してやらないと駄目だというような知識をまず払いのけて、自然のままでいれば、素直でいれば、心が柔らかくて子どもと一緒に暮らせることを喜べる親であれば、それだけで子どもはちゃんと育つようになっている。だから心配しなくて大丈夫です。(回答・野田俊作先生)

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