MENU
64,819

スレッドNo.346

人の話をそのまま理解する方法

Q 
 人の話を自分で解釈しないで、本当にそれをそのまま理解する方法があれば教えてください。

A
 いいですね。これはいいことだと思います。最近、僕はこのことにすごく関心があるんです。どういうことかというと、丸暗記するということに。今の学校教育の中では丸暗記することがなくなったんですが、昔は勉強するということは丸暗記することだったんです。インド人の医者の友だちがいて、彼はインドの伝統医学をやっています。アーユールヴェーダーと言って、漢方医学のようなものですが、彼はアーユールヴェーダーというインドの医学書を丸暗記しています。それは詩で書いてあって、日本語で言えば七五調みたいなもので、口調はリズムがあっていいですが、量はものすごく膨大なんです。電話帳3冊分くらいを頭から全部覚えている。
 例えば、「風邪引き」について質問すると、「アーウーアーウー…」と唱え始めます。その章の頭からしか思い出せない。歌だってそうでしょう。歌だって途中からは思い出せないので、頭の部分から歌いだして思い出しますね。
 仏教のお経も、多くはインドから中国に伝わるときに、書かれたもので伝えられたんじゃないです。翻訳した三蔵法師なんかが暗記していたんですね。その暗記していていたのをただ中国語に訳した。だから元の本は残ってないんです。もともと、元の本なんてないんです。そんなふうに、昔の人々は膨大なものを暗記しました。日本人だって、例えば『論語』を全部暗記している人は、そんなに珍しくなかった。ああいうものを暗記することの良さがあります。私のお婆さんは、曹洞宗の信者で、小さいときから『修証義』という日本語のお経を毎朝読むんです。あんなのは子どもが聞いているとすぐ覚えちゃう。20分くらいのものです。それくらいなら、子どもの頭は何も入ってないから、すんなりと入ってしまう。意味も何もわからないけど。今でも覚えています。
 そうやって丸暗記して覚えておくことのいい点は、その意味を何度も発見すること。『修証義』なら『修証義』で、そのある部分の意味が、「あ、そうなんだ。これはこういう意味なんだ」とあるときふっと気がつく。だから、どんどん“読み”が深くなっていく。でも暗記していないと、それは絶対に起こらない。昔の人は、孔子聖人の『論語』を暗記したりして、「故キヲ温メテ新シキヲ知ル」なんて言っていると、その意味をただ頭で理解しただけでなく、生活の中で、「あっ、このことなんだ」と、体で理解するチャンスが何度も何度もあったと思うんです。そうすると、すごく自分のものになっていくんです。
 鎌田 穣さんたちと言っているんですが、七五調のすぐ覚えられるアドラー心理学の暗記教材を作ったら面白いかもしれませんね(浩→実際作りましたね。「勇気づけの歌」とか)。
 言葉をすっかりそのまま暗記してしまうということはすごく大事なことで、何度も何度もそれを噛みしめる中で、何度も何度も違った側面を見ることができる。ですから、自分の好きな言葉をぜひたくさん暗記してみてください。
 暗記のコツはたった1つ。暗記というのは、喉の筋肉が覚えるんです。これは心理学的にそうです。水泳の仕方とか自転車の乗り方と同じで、筋肉の仕事です。だから、目で黙読しただけでは覚えない。また、声に出して繰り返せば必ず覚えます。昔の人は暗記しようと思ったら、声に出して節をつけて何度も読みました。とても簡単です。かなり長いものでも、毎日声に出して音読していれば覚えてしまいます。昔、うちの子どもが3人ともどういうわけか『桃太郎』の話が好きで、「昔々あるところに」って3人が口をそろえて言うんです。完全に暗記していました。 人によって早く覚えられる人と、ゆっくり覚える人がいます。けれど覚えられない人はいません。(回答・野田俊作先生)

引用して返信編集・削除(未編集)

このスレッドに返信

このスレッドへの返信は締め切られています。

ロケットBBS

Page Top