感情的に叱って反省
Q
私は、子どもに対して感情的に叱ってしまったり、親子関係を縦の関係で支配していたと思い、すごく反省しています。
A
あ、こういう反省はやめようよ。「きびしく反省、惨めな明日」ですよ。点検はすべきだけど、こういう反省はすべきではないと思います。どこが違うか?点検というのは、「これはやめて、こうしよう」という、代わりの「こうしよう」があることです。反省というのは、「あれは悪かった」と、「悪かった」だけ言って、代わりの「こうしよう」を決めないで、しかも感情的になることです。何も感情的になる必要はありません。
われわれは間違った育児をしました。私もしました。皆さんもなさいました。それはなぜかというと、アドラー心理学を学ぶチャンスがなかったからです。たまたま縁がなくて、アドラー心理学を学ばなかったからです。みんな精いっぱい育児しました。育児しましたけど、親からとか、他の方法で昔の育児を学んでしまっていたんです。昔の育児は、昔は良かった。農業的な社会では。同じ村にみんなが住んで、親と同じ人たちとつきあって、親と同じ仕事をして、同じしきたりの中で暮らしていく社会の中では良かったんです。しかも封建的で身分の差があって、庄屋さんはずっと庄屋さん、お百姓さんはずっとお百姓さんという時代には、縦関係の育児は良かったんです。それで日本の国はやっていけました。けれど世の中が変わりました。今、親と同じ職業に就く子どもはあまりいません。親と同じ場所に住む子どももあまりいません。子どもたちは、親のつきあった人とつきあったりしない。子どもがどんどん違う世界に出ていく。だからわれわれが育てるのは、われわれの知らない職業に就いて、知らない土地に住んで、知らない人たちとつきあう子どもたちです。そのためには、旧来の育児では無理です。あのやり方ではもうやっていけない。だから、現代の社会というものを一方でふまえながら考えて作られているアドラー心理学の新しい育児法で子どもを育てていかなければならなくなりました。
アドラーの育児を学ばなかった場合には、多かれ少なかれ、昔の農業社会の封建的な社会の中での育児法を使ってしまいます。それで子どもを育てても、別に責められるべきことではありません。一生懸命やったんだから。これから新しい時代の子どもを育てるための新しい育児法を学べばいいんです。それが「スマイル」(今の「パセージ」)です。(回答・野田俊作先生)