真ん中の子が不適切な行動をする
Q
3人きょうだいの真ん中の女の子のことです。毎日、せかせるように1日が終わります。不適切な行動ばかりです。こちらが注意するのが良くないとわかるんですが。だからと言って、のんびりして大らかで優しいところを適切な行動だと理解したら、この子は怠慢な子になりそうで注意してしまいます。何かいい方法を教えてください。
上と下の子はそれほど心配なくやっている。だからこそ真ん中の子が不適切な行動をするのでしょうか?
A
注目を与えなければいいんです。子どもはこっちが注目を与えないと決心すると、どうしても注目を与えたくなるところまで不適切な行動をいっぺんエスカレートさせます。それでも注目を与えないと、この親は本気だと子どもが思ってやめるんです。いつもこのお母さんは、その前に負けている。
とにかく子どもといっぺん話をします。「あなたがグズグズしているのをお母さんは嫌いだけど、やっぱりそれはあなたの問題だと思うから、これから一切口を出さないようにします。それでいいですか?」。子どもは嬉しいから「いい」と言う。やりだすと、子どものほうは、不適切な行動で親の注目を引く以外に手を知らない。だから不満になって、もっと不適切な行動をする。親はそのうちきっと手を出す。手を出すとズルズル元へ戻る。タバコと一緒ですね。禁煙を破って1本吸うと、もう駄目。その1回を辛抱しないといけない。
ジェーン=ネルセン先生の子どもの話です。「朝8時30分までにすべての子どもはご飯を食べる」と家族会議で決まった。「8時30分までにパジャマを着替えて、ご飯を済ませてほしい。1秒でも過ぎたらもうご飯はありません。いいですか?」。子どもは「わかった」と言ったけど、こんなときはきっと反抗者がいる。その子(一番下の小学1年生)は何日目かに、8時31分にパジャマのままで来た。お母さんは「ごめんね。今日はもうご飯ないの」。子どもは、怒って棚の上の鍋を見つけて台によじ登る。お母さんは黙って降ろす。子どもは癇癪を起こしながらまた登る。お母さんは冷静に降ろす。45分間登ったり降ろしたり。子どもは、とうとう泣きながら朝ご飯を食べないで学校へ行った。「あー疲れた」。それから1週間は守った。1週間後に、またその子が8時31分にパジャマで起きてきた。また台に登る。お母さんは「あー、また今日も45分か」とがっかりしたけど、冷静に降ろした。すると子どもは、「この親はやっぱり本気だ」と言って、それからは守った。いっぺんそんなことがある。
不適切な行動から抜け出してもらおうとすると、子どもは親を試します。場合によってはかなり厳しく試す。それは覚悟する。それには負けないこと。
もう1つ。不適切な行動がないのは(ものによるけど)適切な行動ではない。のんびりおっとりしているのは適切な行動だと親は言うけど、それではあかん。もっと違うこと、何でも親にしゃべってくれるとか、家のお手伝いよくしてくれるとか、何か全然今問題にしていることと関係のないところで適切な行動を探す。
典型的なのはおねしょです。おねしょは不適切な行動だと思うが、おねしょがない日に、ないのは適切な行動だからといって、「今日はおねしょなかった。良かったね」と言うと、「おねしょしなさい」と言っているのと同じです。普段おねしょしていて今日はしないから、言ってもらえる。全然おねしょしない子は、「今日はおねしょないね。良かった」と言ってもらえない。不適切な行動がないのを適切な行動とは言えない。のんびりおっとりしているのを適切な行動として勇気づけても、子どもは一向に勇気づけられた気にならない。全然違うところで勇気づける材料を探してほしい。(回答・野田俊作先生)