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スレッドNo.464

神経症とは

Q
 神経症ってそもそもどういう状態のことでしょうか?

A
 神経症というのは症状があって、何かの不安とか動悸とか食欲不振とか不眠とか症状があって、しかも体の検査、脳波とかCT検査とかをすると、何も異常がない。だから「形の病気」ではなくて「働きの病気」なんです。脳の形が潰れちゃっているの、形というのは別に脳に腫瘍ができていなくても、脳の何かの物質代謝かなんかが壊れていて、セロトニンが増えてるだのノルアドレナリンが減っているだのがあれば、これは器質性ですが、神経症というのはどうもそんなんじゃないみたい。いくら生化学的な検査をしても何も出てこないけど、症状だけしっかりある。こういうのが神経症です。古典的には神経症を4つか5つに分けています。僕らが一番よく出くわすのはパニック障害というやつで、不安になってドキドキドキしたりして、ひょっとしたら過呼吸になってしびれてしまったりする、そういう病気ね。それから強迫性障害といって、細かいこと例えば鍵を閉めたかどうか、ガスの元栓を閉めたかどうかとかが気になってしょうがなくなって、他のことができないとか。それから癲癇(てんかん)性障害といって、あるいは解離性障害といって、二重人格になったり三重人格になったりして、突然ポコッと変わるんです。で、その間のことを覚えていない。あるいは脳波異常があるわけじゃなくて失神する。それから体の麻痺。何も体が悪くないはずのに、右手がずっと動かないとか、眼が見えないとか。そういえば皇后陛下がいっぺん声が出なくなったね。あれは亀さんの功徳で治ったんだそうです。小笠原島へ行かれて、ウミガメの放流をしているときに、いきなり「あなた海へ帰るのね」と言ったんだそうです。それで声が出た。亀の功徳ってありがたい。あれはヒステリー性神経といって、畏れ多いことながら病名はそうですね。別に耳鼻科的にはどこも悪くない。そういうのを神経症という。その神経症という病気が20世紀の初めごろの大変大きな話題でした。19世紀は現代の医学というものが出来上がった時代です。医学は昔のギリシャ時代からもちろんありました。昔の医学は、体液病理説といって、大学で習いました。どんな人が講義すると思いますか?おじいちゃんです。日本医学会の理事かなんかでヨボヨボなんです。難しい顔をして講義をしてくださった。体液病理説。血液とか胆汁とか黒胆(メランコリア)といって黒い胆汁と粘液と、4つの体液がバランスがあってそのバランスが崩れると病気になる。これ、ギリシャ時代以来の病理説です。体液病理説が最終的に崩れて細胞病理説というのができます。細胞病理説というのは、病気は細胞の異常だという説です。細胞の異常とはどういうことかというと、目で見えるということです。病気は目で見える。体液だと目で見えない。だから顕微鏡で体の細胞を見たら、病気のときは必ず細胞の形態的、形の上での異常がある。この説は病気を観察可能なものにしました。初めて医学が完全に科学として自然科学として語れるようになりました。誰がこういう偉いことを言ったかというと、フィルヒョウです。ルドルフ・フィルヒョウ。フィルヒョウ先生はウィーン大学の教授で、ウィーン大学の病理学と内科学の教授で、アドラーがウィーン大学に入ったときにはもういらっしゃいませんでしたが、アドラーはフィルヒョウの愛弟子から内科学とか病理学とかを習ったと思う。細胞病理説というものの発祥の地へアドラーは入学します。フロイトはたぶんフィルヒョウから直接習っていると思う。アドラーより14歳年上ですからね。こうやって全部の病気を顕微鏡で見るようになりました。そこで漏れたのが神経症です。それまで謎だった心筋梗塞も糖尿病も高血圧もみな体の細胞のどこかに何か異常が見られて、「あ、ここだね」と言ったのに、神経症はいくら習っても特定の病気ではないんです。それである種のお医者さんたちが神経症に大変興味を持ちました。最初に神経症というものをきっちり医学的に見ようと思ったのはフランスのシャルコーという神経科の先生です。フロイトはシャルコー先生のところへ留学しました。アドラーはフロイトと一緒にいたのでシャルコーの影響がありますが、要するにようわからん。疾病分類、型の分類はさっき言ったヒステリーだとかパニック障害だとか強迫障害だとできたんですが、もとになるものがわからなかった。でまあ諸説ありますが、アドラーはこれを劣等コンプレックスと言ったんです。生物学的な病気ではなくて心理学的な病気なんだと言いました。(回答・野田俊作先生)

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