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スレッドNo.62

上京している28歳息子への勇気づけ

Q0302
 28歳の息子のことです。上京して3年。準劇団員を1年やり、「上層部の人々の目が死んでいる。こんなところにいられない」と退団してしまいました。相談も受けなかったし、某プロダクションを受けてみると言っていますので、本人を信じて見守るしかありません。私たち夫婦は2人とももう定年退職の年ですので、家賃のみですが、今までのように仕送りができるのもあと1年です。こんな状態の中で、親として息子を何とか信じると言っても不安はあります。勇気づけの言葉が見つかりませんので教えてください。
 
A0302
「お金打ち切るぞ」と言ってください。これ、勇気づけの言葉です。勇気づけという言葉の意味をどうとらえているかよくわからないのですが、勇気づけというのは、例えば子どもだと、子どもが「自分の選択で自分の責任で生きていこうと決心する方向へ援助すること」でしょ。原理的に言えばね。だから、「家賃払えなくなるよ」と言うと、自分の選択で自分の責任で生きていかざるをえなくなるから、勇気づけなんですよ。そう言ってあげたらどうですか。
 それ以外に、今向こうから何か頼んでくれば別だけど、何も頼んできていない状態で、劇団やめてプロダクション受けるのも自分で決められるようになっているんだから、またそういうことについてこの親御さんはアドバイスできないと思うし、信じて任せるしかしょうがないではないですか、イヤでも。
 まあ、経済的に援助できないという事実があるなら、経済的に援助できない。まあ、「イヤになって大阪へ帰ってくるならいつでも帰っておいで」と言ってあげるのも大事なことだと思う。
 昔、ある子が高校を出て、成績あまり良くなくて、わりとつまんない大学へ行きました。すぐにイヤになって、北海道のリンゴ農園に行くことにしました。雑誌か何かで見て。大学をやめると言うと、親がすごく反対した。で、親と子どもが両方カウンセリングに来た。「どうしよう?」と言うから、話を聞いたら、「そんなリンゴ農園に行ってもあんたはきっと失敗するだろう。失敗して帰ってきても家に入れませんよ。親の言うことも聞かないで大学やめて勝手に行ったんだから」と言う。僕(野田)は、ちょっとカチンときた。そんなん親じゃない。親の気に入らない選択を子どもはするかもしれない。ひょっとしたら失敗するかもしれない。失敗して帰ってきたら、「お帰り」と入れてあげるのが親じゃない。そんなところで復讐しないほうがいい。「その選択は親としては間違っているし、賛成できない」と、そう思うなら言ってもよろしい。失敗すると思うなら「失敗すると思う」と言ったってよろしい。言わないほうがいいけど。でも「もしも失敗したら帰っておいで。あなたのうちなんだから帰ってきていいよ」と言ってはあげてほしい。この子の場合もそうなんで、はたして役者になれるかどうかわからない。最後は失敗して帰ってくるかもしれない。そのときは機嫌よう迎えてあげよう。「ご苦労さん、面白かったでしょ。次のことをゆっくり考えよう」と。
 それさえ子どもに伝わっていれば、子どもは安心して無茶ができます。若いときには安心して無茶しないとダメです。
 野田智助さんというカヌーのおじさんがいます。親戚ではありません(笑)。早稲田のボート部出身で、大学出て勤めてすぐにイヤになって、放浪の旅に出て、カヌー担いであちこちヒッチハイクしていた。あるトラックの運転手が「お前何やってる?」と言うから、「何もしないでバイトしながら旅してる」と言ったら、「いい年して真面目に働かんといかんじゃないか」と言われた。野田さんはすごく怒った。「俺は真面目だからこんなことをしている。真面目じゃなかったら勤めているわね」。真面目じゃなかったら勤めているんですよ。人生のことをほんとに真剣に真面目に考えたために勤められなくなって、さすらいの旅に出て、飯場仕事をしてもいじゃない。それは今の矛盾した社会の中で、真剣に自分の生き方を探すとすれば、どうしてもそういう時期が必要です。そこでやがて見つかるかもしれないし、見つからなくて、不真面目なまともな社会に戻ってくるかもしれない。どっちでもいいです。(回答・野田俊作先生)

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