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スレッドNo.722

野田先生の質疑応答

Q671
 大きな物語の終わり、地球そのものの破壊という問題から抜け出す唯一の可能性が育児と教育だというお話でした。けれど邪悪な勢力にとってもそのことが当てはまるのではないでしょうか?このことについて何かお話いただけますか?

A671
 そうですよ。例えば、エコロジーというものを考えると、今3つの種類のエコロジーがあると思うんです。1つはディープ・エコロジーと呼ばれているもの。どうディープかというと、先祖返り、「“縄文式時代に帰れ”運動」。これってたくさんの人たちが、自然農法とかアメリカン・ネイティブの人たちの知恵に学べとかやっているけど、あれって生産性を維持できないんです。僕たちが縄文式時代の人口まで減っていいんだったら縄文式時代の暮らしができます。北海道のアイヌの人たちは、完全に自然と調和した暮らしをされていましたが、じゃあ北海道が何人のアイヌの人たちを養えたか?今の人口の北海道を絶対養えないんです。農業生産というのは飛躍的な生産力の向上です。農業生産以前の世界へ戻ったって、ほとんどの人が餓死します。だからディープ・エコロジーというのはナンセンスだと思う。もう1つはエコキャピタリズムと言うんですけど、太陽電池とかハイブリットカーとか、今の工業製品の延長上に、「自然にやさしい○○」というヤツ。あれが最も邪悪な勢力なんですけど、大きな問題に目を覆って目の前のちょっとした問題を解決したことで全部の問題が解決したかのように見せかけるまやかしをさかんにやっています。でも一番根本にある原理は、エコロジーの場合は一番根本にある原理は、熱力学第二法則で、第二法則って凄い簡単なんです。「動けばゴミが出る」んです。どんな動き方をしても出るんです。熱力学第二法則の素敵さは、いかなる動き方をしてもゴミが出るんです。電気で動こうがガスで動こうが石油で動こうが原子力で動こうがゴミが出るんですね。ゴミの量の多い少なくはあるけど、ゴミが出るんです。だから唯一の手は「動くのを止めること」だけなんです。いらない動きを全部止めろなんです。でも資本主義者たちはいらない動きを止められると困るんです。自転車操業ですから止めるとコケるんですよ、この社会が。だから何とか動かしながらエコロジーを謳いたい。自然にやさしいムニャムニャをしたい。だから世の中、“緑の何”とか、“自然の何”とかでいっぱいでしょう。嘘つきばっかりね。だから第三番目の道を探したいんです。スピリチュアル・エコロジー。1人1人が自覚して、1人1人の暮らし方を管理していくこと。みんなが「自然と調和した暮らし方が素敵だな」「自然と私とが別のもんじゃないんだ」ということをしっかり学ぶこと。で、大人になってからなかなか学ぶヒマがないから教育の中で徹底的にそれを教えていきたいんです。そのためにはまず教師たちがそのことを学びたいんです。そのためにはだいぶ時間がかかりそうです。今の子どもたちはもう間違った教育を受けてしまっているので、もうちょっとあとの時代の子どもたちにその教育を始めて、試行錯誤的に、何もかも僕らが知っているわけじゃないもん、やりながら補正していって、その子たちが大人になって、その大人たちが教師になって子どもたちを教えて、それが第二世代目で、その子どもたちが大人になって教えるころに、どうやら第三世代くらいで本格化するんじゃない?だから最低30年くらいかかりそうに思う。それぐらいの時間、何とかこれ以上の破壊をもたらさないように暮らさないといけないと思っています。いつも金儲けを企む人たちがいるじゃないですか。教育は教育産業というものがあるし、福祉は福祉産業、エコロジーはエコロジー産業というものがあって、「産業」というもの自体がまやかしなんですね。僕、経済というのが全然理解できないで暮らしていました。大学の教養で「経済学」を採りまして、大阪大学というのは珍しい大学で、マルクス経済学というのはないんです。全部、近代経済学で、日本でも珍しいんです。それで、サムエルソンという先生の経済学の本を使って1年間講義をワーッと聴いて試験は通ったくせにひと言もわかっていない、結果的に。なんかようわからんかったんですよ。需要が供給がどうちゃらこうちゃら言うてわからんなあと思って、大人になったら、桂枝雀さんが落語をやってまして、それは「花見酒」といって、2人の男がお花見に行くんです。お花見に行くのにただ行ったんではつまんないから、酒を持って行って、酒を売って儲けようやってお酒持って出かけるんです。途中で喉が渇いて、「おー、酒一杯くれ」「そりゃダメだよ。こりゃ売り物だから」「じゃあ金出すから」と言って百円出して一合飲むんです。「うまいなあ」って、そこで飲まれたらこっちも飲みたいじゃないですか。「俺も飲む」とさっきの百円を渡して一合飲むんです。「おー、うまい、もう一杯」とこっちの百円渡して一杯飲むんです。百円玉が行ったり来たりしているうちにお酒が減るでしょう。あとおしっこが出てゴミが増えるでしょう。だから一定量の貨幣が回転している間に資源が減ってゴミが増えるのが経済の基本構造だとわかったんです。だから儲かるとダメなんです。儲かると必ずゴミが増えるんです。動きがあるから。だから何かの産業というのを生んじゃうとダメですよ。ゴミ出さないで資源減らないで自然の中で僕たち人間の使って許されるものだけを使って暮らしたい。そうやると偽物が見破れるんです。そこで誰かが儲かっていると具合が悪いんです。「花見酒」です。

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