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スレッドNo.76

感情とは?

Q0309
 感情とはいったい何でしょう。無意識と関係あるでしょうか?

A0309
 感情とは自律神経の反応です。「怒り」って何か。脈がどきどきして、頭がのぼせて汗が出て、筋肉がこわばることでしょう。感情は心のものじゃなくて体のものだと思う。体の「ある反応」のことです。
 その体の反応は何をしようとしているか。アドラーは2つの目的があると言った。1つはそれで他人を動かそうとしている。怒りを使って人を支配しようとしているとか、不安を使って人にやさしくしてもらおうとしているとか、憂鬱を使って仕事をさぼって、みんなに許してもらおうとしているとか、他人を動かそうとしている。もう1つは、自分が動くためのかけ声。腹が立つので「クソー、バカたれ!」と言って、何かある行動、例えば離婚に踏み切るとか、冷静だとなかなかエネルギーが出ないことに、「エイ!」というかけ声の代わりに感情を使う。
 感情はそういう意味では合理的です。目的のために作り出されて使われている点では合理的です。ただ人間は愚かですから、ときどき目的を見誤っている場合がある。子どもに「勉強しなさい」と言って、「勉強なんかしない」「何!どうして親の言うことを聞かないの!勉強しなさい!勉強しなさい!」「絶対勉強なんかするか!」と喧嘩しているときに、やがて勉強なんかどうでもよくなる。子どもを従わせる、子どもに言うことを聞かせることが目的になる。「昨日子どもと大喧嘩したのよ」「テーマは何?」「何だったかねえ…」。夫婦喧嘩もそう。「昨日すごい喧嘩をして、私が鰺のフライを投げたら向こうはお皿を投げようとしたから、お皿やめて、割れるからと言ったら、向こうもしょうがないからその辺にあったマヨネーズを投げた」「結局なんで喧嘩をしたの?」「さあ何だったんだろうねえ…」。あれは途中で目標を見失っている。何の話かわからないけど初め合理的な目標があった。喧嘩が始まったとたんに勝つという目標に変わった。何でもいいから相手を屈服させる。初めの本来の合理的な目標は飛んじゃった。勝つという目標に向かって感情がさかんに使われたから、その点では合理的なんです。勝つという目標自体に向かっているという点では。でもそこで勝たなくていい。
 喧嘩した人にたずねるんです。「何が決まった?」と。夫婦喧嘩なんかほとんど何も決まっていない。どっちが勝ちか決まった。だいたい女の勝ちです。女のほうが汚い手が使えるから。泣くとか、ヒステリックになってわけがわからなくなるとか、「元の20歳に返して!」と叫ぶとかいう手が使える。男は泣くのはもひとつでしょう。「元の25に返して」も不細工でしょう。使えるレパートリーが少ない。殴ると負け。女性を殴ると殴った男も「しまった」と思う。殴らんといかん女房もいるけど、殴ったら、プロレスの反則と同じで、あと言いつのられるから。「うちの亭主はすぐ手を出す」とか。友だちみんなに電話をかけまくって、実家へも電話かけまくって言いまくるから負け。それくらいしか思いつかないほど、男は使える手が制限されている。男が友だちに電話して「女房と喧嘩して…」と言えないでしょう。使える手が制限されているから、だいたい女の勝ちです。
 でもそこで勝っても意味がない。何かを取り決めることが大事です。ときどき結果的に不合理に動くことはあります。でも、さしあたっての目的に向かっては、常に感情は合理的だと思っています。(回答・野田俊作先生)

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