盗みをする子の指導
Q
人のものを盗った子どもに対する指導をアドラー的にやってみたつもりです。しかし、他の職員から「中学になったらきっともっと大変になるだろうから、もっと厳しく指導しないといけない」と言われ、甘いと思われていると感じている。このことで、“みんなから評価されたい私”がいることを改めて意識できた。それがわかって少しすっきりしたけど、まだくじけています。こんなとき自分をどう勇気づけたらいいのか教えてください。
A
どんな指導をしたかわからないけど、アドラー心理学ってメチャメチャ厳しいよ。結末について話し合って、実行された子にはすごく堪(こた)える。だって「なるほど」と納得できるもの。
盗みなら、まず「警察へ行きますか?」と言う。「君はどうもみんなと一緒にやっていけないみたいなので、警察へ行きませんか。そうしたら、児童相談所へ行きなさいとか、カウンセラーと会いなさいとか言われるでしょうから、その人たちと話してみませんか?」「もうしません」「もうしないんだったら今回は行かなくていいですけど、次にやったらもう話しませんから、即、警察へ行きましょう。それでいいですか?」。これって論理的でしょう。
学校という社会は警察とつながるのをイヤがるね。私は裁判所や児童相談所にいたことありますが、教師よりうまいこと扱いますよ。向こうは専門家なんだから頼んで協力体制をとるのを戸惑ってはいけないと思う。
だいたい、学校の先生に「処分権」があるかどうか疑問です。刑事犯罪ですから、子どもであっても。もうちょっと何か考えたほうがいいという気がします。この意見に固執はしませんが。個人的見解です。アドラー心理学をやっていると、どうせ批判はあります。だから闘うことです。私はそうやって暮らしてきました。なんであなたがたがそうしないかわからん。自分のやっていることに確信を持てるまで、信念を持てるまで深めていって、人がどうのこうの言ったら、「いいえ、このほうが正しいんです」と言えるだけの準備をする責任があります。しっかり勉強してくださいね。(野田俊作)