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スレッドNo.807

I am OK. You are not OK.からの脱出

Q
I am OK. You are not OK.について。ここからの脱出方法についてお話ください。

A
 私(野田)はこの間からワークショップを2つ連休の間に続けて続けてやりました。ワークショップは一番儲かるんですよ。本を書いたら全然儲からないです。『アドラーの思い出』なんか、苦労してね、1年もかかって翻訳してね、56,000円もらえたんですよ。なんか凄い悲しいです。本なんてそんなんです。『トーキングセミナー』は発行部数が多かったから1冊出るたびに20万円くらいもらっている。でも年に20万円くらいなんです。カウンセリングとか講演とかはあんまりお金にならないんです。僕、講演で一番もらえたのは、アドラーの仲間のところで、凄い気前のいい所で20万円くらいかな。でも月1回とかですから、それだけでは暮らせない。その割にワークショップは実入りがいいから、なるべくワークショップで暮らしたいものだと思っているんです。私のサバイバル戦略なんですけど。
 連休なんか稼ぎ時だから、2発続けてやったんです。片方が「俗アドラー心理学」で片方が「聖アドラー心理学」なんですけど、字がちょっと違います。どっちも問題になったのは、「私はちゃんとしているのにみんなが私のことをわかってくれない」とか、「私には間違いがないのにみんながおかしなことをする」って言って不幸になっている人たちなんです。この人たちは絶対救われないんです。なんでかというと、自分を変えることでしか答えはないから。僕たちが人生を変えようと思ったら、自分のやり方を変えるしかしょうがないわけじゃないですか。「私がこんなに誠実にしているのに、ちっともみんなが報ってくれない」とか、「一生懸命生きているのに私の家族がわかってくれない」とか言っている人は一生言っていると思う。これがI am OK. You are not OK.なんですよ。
 アドラー心理学の原理に遡って考えると、人間には劣等感というものがある。私はNot OKだと思っている。そのNot OK をOKにするために何かいろいろ努力したり目標を立てたりする(補償)。ところがこの人たちはNot OK度が深い。自分がNot OKだということを認めることができないんです。認めると崩壊しちゃうんです。だからそこから目をそらして、自分の不幸を他人のせいにする。そういうのをアドラーは「自己欺瞞」と言いました。フロイトは、あー忘れた。投影か。また思い出すでしょう。そうそう、「反動形成」(浩→やっぱり“投影”でしょう?)。私にあるものを相手に見つけるんです。「お前たちは残虐だ」とか「お前たちは嘘つきだ」とか言う人に限って、自分が残虐だったり嘘つきだったりする人を見たことない?あれ、反動形成(浩→“投影”)なんですよ。その人たちは劣等感があまりに深くて、その劣等感を直視することができなくて、相手の中に自分と同じ欠点を見つけ出して、「そうだ、そうだ」と言う。そういう人たちは、まずさしあたって手助けのしようがないんです。もしもその人たちの劣等感をまともに指摘したりすると、またやりますよ。「治療者は悪い人、私はかわいそうな人」ときっと言いますから、僕たちはゆっくりと時間をかまえて、その人たちが自分自身をちゃんと見つめて、「自分の力で変わろう」と思われるのを待つことにします。なぜ待つことにするかというと、私はちっとも困らないからです。
 このへんがやっぱりプロですね。アマチュアは助けてあげなければと思うが、プロは「助けてあげなければ」とは全然思っていない。「助けてほしければ助けてやらんでもない」くらいのところで構えていますから、待ちます。「時」が必要だと思うんです。病気の根が深い人たちだと思う。アドラーをやってても、そんな人とよく出くわすんです。そういう人たちは子ども時代の想い出までそうなんです。今現在もそう思っているけど、子ども時代の想い出もやっぱり「私がちゃんとやっているのに、みんながわかってくれなかった」とか、「確かに私も悪いことしたけど、あなた方のやり方はあんまりでしょう」というような想い出を持っている。だから骨の髄からI am OK. You are not OK.なんです。ということはよっぽど劣等感が深いので、かわいそうではあるけど、説明だけして、「こうこうこうなんです。今回あなたを援助することができません」と言って待ちます。(野田俊作)

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