次男が夫や長男の財布から…
Q
家ではときどき高額紙幣の好きなお化けが出ます。次男が精神的に行き詰まると夫や長男の財布から高額紙幣が消えます。そしてなぜか次男の金回りが良くなりますが、証拠がないので何とも言えません。皆がイヤな思いをしますが、どう対処すればいいか困ってしまいます。
A
「生前贈与分」でどっか帳簿につけといたら?どうせ僕たちのお金は最後どうなりますか?私たちが死ぬといくらかのお金が残るでしょう。そうすると税務署が来て相続税というのを取るんですよ。この相続税というのはひどい話で、なんで取られなあかんのか理由がない!親が子どものためにと思って、一生かかって貯めた金をなんで国が持っていく権利があるのかだれも立証できないんですけど、国家権力は相続税を取ると言うんです。で、凄い高額に取るんですよ。それだったら、生きている間に子どもにやったほうがいいと思わない?まず「生きている間に子どもにやったほうがいい」と思います。こういう相続税を凄い高い金を払って、それを正義だと思っているわけね。資本主義というのは、自由と平等、僕らはこの平等を同等と言うんですが、自由と同等との矛盾の上に成り立っていると思うんです。自由というのは、要するに人はお金持ちになる自由があるわけ。もちろん貧乏人でいる自由もあるわけ。人は高いものを買う自由もある、高いものを買わない自由もあるわけ。人は浪費する自由もあり、浪費しない自由もあるわけ。だから金持ちになる自由というのもあるはずなのに、それを累進課税だとか相続税だとかを使って、金持ちになれないシステムを一方で作って、それを正義だって思うわけさ。それを僕はあんまり賛成できないんです。よく外国へ行って言うんだけれど、日本のことをいろいろ訊かれて、「日本てどんな国?」「日本て最も成功したマルクス主義国家だ」と僕言うんですよ。マルクスやエンゲルスが夢に見た共産主義国家なんだ。そこには金持ちもいなければ貧乏人もいないんだって。ほんとに徹底した社会主義制度なんです。税金に関して、相続等に関して。だから僕たちがいくら頑張っても金持ちになれないんですね。それはわかった?だから、あなたのお金は国に取られるか子どもに取られるかなんです。どっち好き?子どもに取られるほう?子どもが黙って持っていくのがちょっと問題ですので、きちんと帳簿につけておいて、彼に分別が戻ったときにちょっとお話しします。35歳くらいのときに。「ところで、あなたが16歳から24歳までに持ち出したお金がこれだけになりました。それについて『返せ』とは申しません。『確かにそれだけ持ち出しました』とここに署名捺印してくだい」といつか言おうと楽しみにしておいて、帳簿をつけておいたら?親不孝した子どもというのは、将来有望だと思うんですよ。私(野田)は親不孝をしたという実感がヒシヒシとあるんです。子ども時代に親を手こずらせたよねって思うんですよ。私の母は授業参観に来たときに、僕が先生の揚げ足をとるというのが一時マイブームで凝っていましてね、わりと物知り少年だったから、先生が何か言うと、「違うのにー!」って後ろのほうで言ったので、母は傘で僕をつっついて、「すみません、先生」って。そんなことをして親を辱めた覚えが凄いたくさんあるんです。恥ずかしいからそんなの思い出さないことにしてるけど、ノート3冊くらいあるから、年取って申し訳ないと思い、親孝行しておりますから、この子もきっと親孝行になるでしょう。あなたがおじいちゃん・おばあちゃんになったときに。だから将来を楽しみにして、今は帳簿を作るだけにしたら?本人は覚えてますもの。親の財布からお金を取ったなあというのをカルマとしていつまでも覚えていますから、きっとその分は返してくれます。かなり利子がつくと思うよ。銀行はたとえ定期預金をしてもしれてるんです。それよか子どもに預けたほうがはるかに高い利子で返ってくると思う。だから、国にもあげず銀行にもあげず、子どもに預金したと思ってください。だいたいねえ、躾け、子どもに正しい暮らし方を教える限界は何歳までは躾けができるかというと、アドラー派の見解としては小学校を出るまでなんです。小学校を出たら、躾けは手遅れですから躾けをどうこうしようではなくて、高い望みをもってもらおうのほうに切り替えるんです。“請願”をしてもらおう。そこから道徳的な行為が出てくるから、だから、「あれしてはいけません。これしてはいけません」はもう手遅れ。(野田俊作)