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スレッドNo.829

アドラーの宣伝は禁止

Q
 学校の教師です。本を何冊か読ませていただいて……。
A 嘘ばっかり書いてあるでしょう。だって、誰が読むかわからないから嘘しか書けない。
Q それはそれとして、授業中に騒いでしょうがない子がいる。そういう子に対して、普通の学校だと「静かにしなさい」と言うのが普通なんですが、「静かにしていただけないでしょうか?」という語りかけはどうだろうかというのがあって、それもそうかなあと思った。そういう話を職員室でしました。「そういうふうな考え方で今度子どもに接してみてはどうかなと思うんですが…」と言うと、ある先生が……
A あなた、自分はやってますか?
Q はい、やってます。
A じゃあ、黙ってやる。決してアドラー心理学の宣伝をしない。どこでも。家庭でも学校でも、「決してアドラーはいいよ。あんたこうやったほうが生徒はよく言うことを聞くよ」と言わないで。
Q わかりました。
A これ、ポイントなんですよ。
Q 話の中で……、
A 話するからこじれてくる。
Q あ、こじれた話なんですか。
A だからこじれないコツをあらかじめ話している。こういう場合は、いっさい「アドラー心理学だ」と言わないこと。向こうが「教えてくれ」と言うまで教えない。私は裁判所にいたことがあります。裁判所はフロイト派の巣です。日本のフロイト派のほとんどは裁判所にいる。で、調査官はかなりいいフロイト心理学の教育を受けている。だから、「アドラー」なんてこっから先も出さないでしばらく暮らしていた。半年くらいしたら、「先生のやり方は何か変わっている。教えてほしい」と言ってきた。「いやだ」と言った。「私は自分でアメリカへ留学して高い金を払って学んできた。あなた方はただここへ来て習おうなんて甘い」と言って教えてやらなかった。彼らはすごすご帰った。2,3か月して来たから、また「いやだ」と言った。「お前たちは身銭を切る気もなくて、今まで学んだことを捨てる気もなくて、ちょっと一般教育でやりたいだけなんだ。そんなのに教えてやれない。今まで学んできたことを全部捨てて、徹底的に改宗するなら教えてやる」。またすごすご帰った。やっと1年くらいして、5,6人が改宗すると言って来た。仕方なしに、少しだけ教えた。それも出し惜しみして、聞かれたことにしか答えなかった。そうすると一生懸命勉強する。それしかない。
 学校で、自分がほんとにいいクラス運営ができて、子どもたちといい関係が持てて、他の先生たちが、「先生ところのクラスはどうしてあんなにいいようにやれるんですか?」と聞いてくるまでアドラーの話をしてはいけない。夫婦間でも、お母さんと子どもとはすごく良くなって、何でも話が通じるようになるまで、ご主人に「あなたのやり方は間違っているよ」と言ってはいけない。それさえしなければ余計なトラブルは起こらないし、とてもうまく動く。
 まだ十分実践できていない間に宣伝ばかりするのは、その人自身の信用もなくなるけど、アドラー心理学自体の信用がなくなる。何か変なことをやりながら、「アドラーだ、アドラーだ」とやっていると、「アドラーって大したことない」と思われる。その人がどんなに軽蔑されてもかまわないけど、アドラー心理学が軽蔑されるのは困る。勧進元としては。発売元としては。だから、僕、他の先生との関係は知らない。
Q そのときの話の中で、「学校というところは、それぞれの家庭で育った子が集まって、ある程度同じことを押しつけられるわけだから、そういうのを許すことは基本的にできない」と言われて、どう答えていいかわからなかった。
A 「そうですか。わかりました」と言う。権力闘争からは降りる。
Q ああ、縦の関係ですか。
A そう。そこでその人を論破したら日本の教育は変わるか。そこでその教師をひとり論破したところで日本の教育は何も変わらない。いつも人と喧嘩しそうになったら考える。「ここで私がこの喧嘩に勝ったら世界は変わるか、人類は救われるか?」。そうじゃなかったらあっさり負けよう。議論に勝ってもしょうがない。文科大臣と議論して言いくるめるなら、それはやってもいい。やる価値はある。(野田俊作)

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