MENU
130,410

スレッドNo.856

「死」について

Q 
 「死」について何かスピリチュアルなお話をお願いします。

A
 スピリチュアルは話はありません。なんでないかというと、死ぬということだけを取り出して考えることができないから。道元禅師は「生死(しょうじ)輪廻」と言う。生だけ死だけを絶対言わない。生きることと死ぬことは同じことの連続です。無理やり「こっちが生きている、あっちが死んでいる」と言っているだけで、人間の自然の新陳代謝です。われわれは、一方通行的に「原因から結果へ」流れている、「過去から未来へ」流れていると考えがちだが、ほんとは違う。グルグル循環しているんです。輪廻です。生物学ではメタボリズムとカタボリズム。外から取り込む運動と外へ排泄する運動がグルグル回っている。排泄したものが植物へ取り込まれ、植物を動物が食べてまた排泄して……という具合に、全体の大きな循環の中にわれわれもいる。それが僕らの生死です。僕らはたまたま生きているように思っているが、それはたまたまこんな形に分子が集まっているからです。酸素、窒素、リンからできていて、それがたまたま今こんな形を取って、メタボとカタボで取り込むものと排泄するものとバランスを保っている。そのうちバランスを保たなくなったら、全体が排泄物となる。ハゲタカの餌となり医学生の餌食になり鳥辺山(京都の火葬場)の煙と消える。いずれにしても無機的な世界へ帰っていく。
 じゃあ、帰っていったら終わりか。それもまた何かの形で生命の中に取り込まれる。地球全体を1つのシステムとして見れば何も起こってない。そういう大きな分子の循環が起こっているだけ。そこには生もなければ死もない。個人の側から見るから生きているとも死んでいるとも思うが。もうちょっと大きく見ると、私が完全に死ぬわけではない。私の遺伝子は子どもに移した。跡形なく移ったからもういい。タンパク質やリンやカルシウムはカタボで世界へ帰っていって、雀になったりカラスになったりエンドウ豆になったりするから、それでいい。
 私の魂は?これはわからん。でもなるべく早く終わってくれたほうがいい。そんなに長く生きて何するのよ。だいぶ退屈してきているんで、魂が消えてくれたほうがいい。(こんなことをおっしゃって……2020年12月に極楽往生なさいました。ご冥福をお祈りいたしますが、私たち生徒にはもっと長生きしていただきたかったです)。(野田俊作)

編集・削除(未編集)

ロケットBBS

Page Top