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スレッドNo.887

着信メロディ     野田俊作

着信メロディ
2002年04月01日(月)

 スタッフの一人が、「『ロード・オブ・ザ・リング』の音楽を、携帯の着メロに入れていただけませんか?」と言う。どうも、以前に約束したらしい。私は(とくに女性に頼まれると)「○○してあげる」と気軽に約束する癖があって、しかもそれをコロッと忘れてしまう。そのことは知っているので、実行不可能な約束だけはしないようにしている。
 サウンド・トラックのCDを聴いて、どれにするか考えたが、映画だと最後に物語が終わってから鳴る"May it be"という歌の、そのまた最後、歌が終わった後のコーダの部分を入れることにした。映画の最後の部分、客席が明るくなり始めるころに鳴る旋律だ。もっとも、ホビットのライト・モティーフなので、劇の中でも何度も鳴るのだが。
 着信メロディの音質と用途を考えると、美しいメロディだからいいというわけではなくて、適した旋律と適していない旋律とがあるように思う。ガンダルフがホビット村に入っていく場面とか、アラゴルンとアルウェンのラブシーンの音楽とか、"May it be"の旋律とか、きれいな音楽はたくさんあるのだが、着信メロディ向きじゃないと思う。ともあれ、CDを聴音して3声部の楽譜を作って、それを入れてあげた。せっかく作ったので、自分の携帯電話にも入れておいた。
 他のスタッフが「私にも以前に約束した」と言う。そうかもしれない。「曲を選んでおいで」と言っておいた。音楽に関する仕事はまったく苦にならないので、仮に約束していなくても、してあげるのはちっともいやじゃない。



未来予測
2002年04月02日(火)

 先日、ハインラインの『夏への扉』を読んだ勢いで、フレドリック・ブラウン『火星人ゴーホーム』(ハヤカワ文庫)とロバート・ハインライン『人形つかい』(ハヤカワ文庫)を読んだ。いずれも1950年代の作品で、舞台はおおむね2000年ごろ、つまり現在だ。小説の中に出てくる「未来」の生活は、われわれが生きている「現在」とあまり似ていない。人類が宇宙へ進出していることになっていたり、空飛ぶ自動車があったり、立体テレビがあったり、服装もすっかり変わっていたりする。しかし、実際には、そういう点では50年代と今とで、大きな変化はない。
 一方、はっきり違うのは、いわゆるIT技術だ。パソコンもインターネットも携帯電話も予測されていない。主人公が電話ボックスを探したりすると、ちょっとおかしい。政治的なことでは、今はソ連がない。小説の中では、相変わらずクレムリンが陰謀をたくらんでいる。社会的なことだと、喫煙する主人公が多いので驚く。そういえば『指輪物語』のフロドやサムも、小説の中では喫煙するな。そういうことを丹念に拾って読んでいけば、大学の卒論くらいにはなるんじゃないかな。
 ともあれ、未来予測というものが、いかに当たらないものかということがわかる。2050年の世界なんて、どうなっているのかまったく見当がつかない。世界が存在すればいいんだがね。ま、私はどうせいないのだが。



注意欠損
2002年04月03日(水)

 次の土曜・日曜にワークショップをする。同じワークショップを1月にもして、そのときプレゼンテーション用のスライドをこしらえた。パワーポイントを使うことを覚えてから、重要な話をするときは、要点をまとめたスライドを作ることにしている。今回も同じテーマで話をするのだが、部分的に手を入れたほうがいいかなと思って、ひさしぶりに見てみたところ、なんと、話の筋をよく覚えていない。前回、このスライドを作ってすぐに人々に説明したときは、細部までよくわかっていたのだが、今では、大まかな話の筋はわかるが、細かい論理のヒダが見えなくなっている。
 いつもこんな風なのだ。論文を書いたり講演をしたりしている間は、その問題について完全にわかっているのだが、書き終わってしばらくすると別の話題に興味が移ってしまって、その話のテーマに関心を失ってしまう。多動で注意欠損なんだ。ひとつの話題をじっくり煮詰めるということをしない。あちこちつまみ食いしながら、その都度その都度、そのときの話題に夢中になる。これは、浮気性ともいうな。女性とのつきあい方も、そんな風なのかもしれない。
 ともあれ、そうして、次々と関心が移っていくが、しばらくすると元の話題に戻ってくる。ただし、「しばらく」というのは、数年単位だ。(女性も、数年待ってくれるといいんだけどね)。今回は、数年後の「しばらく」を待っていられないので、無理やり思い出さなければならない。ちょっと苦痛だ。

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