休息効果 野田俊作
休息効果
2002年08月23日(金)
カウンセラー養成講座の実技試験を3人の方が受けられ、3人とも落第した。去年は、落第者が多いことで悩んだのだが、今年は気に病まないことにした。ひとつは、講義の内容をうんとシンプルにして、最小必要限のことしか教えないことにしたこと、ひとつは、パワーポイントでスライドをこしらえて要点を整理し、しかもそれを資料として配布していること、ひとつは、実技指導も、あまり細かい点に入り込まず、大きな戦略の立てかたに重点をおいて、できるだけわかりやすくしていること、など、講師の側でできる工夫は考えられる限りしたからだ。これで落ちるなら、生徒の側の問題だぜ、と、講師は開き直ることにした。あつかましいだろう?落ち込むよりはマシさ。
全体のスケジュールは、前半に4日間の集中コースがあって、3日間休み、後半また4日間ある。前半が終わったばかりなので、まだ4日ある。その間に、成長する人は成長するだろう。昨年もそうだった。前半4日間ではとうてい合格の見込みのなかった人が、3日間の休みの間に、なにをどう悟ったのか、すっかり上手になっていたことがある。それに期待しよう。
この休憩の間の上達というのは面白い現象だ。「水泳は冬に、スキーは夏に上達する」という諺があるようだけれど、ほんとうだと思う。ただし、一般論はできないので、上達する人としない人があって、その間にはなにか差がある。それを前もって予測できないかなと思っている。つまり、前半はあまり上手じゃなかった人が、休みの後どれだけ上達しているか、ひそかに予測している。当たりますかどうですか。
しかし、こんなことを書くと、受講者たちはいやがるだろうな。誤解のないように言っておくけれど、私は、全員が合格することを願っているんですよ。落として喜んでいるわけじゃないんだ。ただ、アドラー心理学カウンセラーの品質管理は私の責任だと思っているので、水準に達しない人を泣く泣く落としているんです。
心理テストと鑑定
2002年08月24日(土)
友人の弁護士に頼まれて、鑑定書の反論を書いている。民事裁判で、心理学者が原告と被告の両者に心理テストをして鑑定書を書いた。その内容が、友人の弁護士の依頼人の側に不利なので、反論したいが、なんとかならないかというのだ。まあ、「理屈と膏薬はどこにでも付く」と思ったので引き受けた。
しかし、裁判に心理テストを使うなんて、どうなんだろうか。民事鑑定はもちろん、刑事鑑定でさえ、心理テストを根拠にものを言うことに、私は疑問をおぼえる。いかなる心理テストを使っても、丁寧な面接でわかる以上のことはわからない。しかし、素人はテストに目をくらまされてしまうだろう。テストは、一見「客観的」に見えるものね。なるほど心理テストのスコアは「客観的」なものだが、スコアの解釈はきわめて「主観的」なものだ。心理テストの客観性は、だから、見せかけにすぎない。そこで、鑑定書に書かれているスコアを、鑑定人とはまったく違う解釈を加えて反論する、というようなことができるのだ。鑑定人もインチキ臭いが、反論している私もインチキ臭い。
新潟
2002年08月25日(日)
新潟市に来ている。新潟市で講演するのははじめてだ。長岡では何度か講演したことがあるが、新潟市には、間違ったアドラー心理学解釈に凝り固まった人々がいて、私を呼んでくれなかった。さいわい、そのグループは自壊してしまった。そのグループを支持していた人の一部が改心して、私を呼んでくれることになった。もちろん、自然に改心したわけではなく、新潟県下の仲間たちの根気強い働きかけがあったのだ。人が、自分が信じているものの誤りに気づき、正しいものを一から学びなおす気になるのは、大変なことだ。そういうことができるためには、本人の勇気も必要だが、周囲の勇気づけも必要だ。
100人以上の聴衆が集まった。「長岡では講演していたのですが、ようやく新潟市まで来ることができました。だんだん北上しているから、次は佐渡かな」と、講演の冒頭に冗談で言ったら、ほんとうに佐渡から来ている人がいらっしゃって、来年は佐渡に呼ばれてしまいそうだ。まあ、夏場だったらいいかなと思っている。渓流釣りもダイビングもできそうだしね。
遠く福島からかけつけてくださった方もいらっしゃった。東北地方は保守的なのか、なかなか正しいアドラー心理学が広まらないが、あわてることはない。「錐を袋に入れておくと、自然に先が出る」という中国の諺があるんだそうだが、根気よく運動していれば、いいものなのだから、かならず全国に広がると思う。