「ありがとう」と言いにくい
Q
子どもが役に立ってくれたときに感謝することにまだ馴れていません。素直に「ありがとう」と言えないときが多いのです。どうしたらスムーズにできますか?鏡に向かって練習したほうがいいでしょうか?
A
そんなことはありません。「あーりーがーとーう」と言えばいい。5文字です、わずか5文字。なんて簡単。「5文字だな」って思うんですよ。最初「あ」が言えれば次は「い」が言えるんです、「い」がね。最初「あ」さえ言えばいい。「あ」さえ言えば、「あ・ありがとう」と、こう言えますから、まあ最初「あ」を言おうと思ってくださいな。わざわざ練習することはない。まあ何よりも感謝の気持ちを持ってほしいです、はい。「スピリチュアルワークへ出ては?」とよく言うんですけど、人間は自分の力で生きていくことができません。「私たちは“4つのもの”からご恩を受けて生きています」と、こう言うんですよ。1つは「天地の恵み」で、自然のおかげで僕らは生きています。地球のエネルギーというのは全部太陽から来ます、100%。今はほんとはそうじゃないんです。ちょっと困ったことが起きて、原子力というのはあれは太陽から来ているエネルギーじゃないんですよ。あれはへそくりなんですよ。それから石油とか石炭も大昔の太陽のエネルギーで、今のエネルギーじゃないんですよ。あれもあんまり使い崩さないほうがいい貯金なんですよ。ほんとは今の太陽から来ているエネルギーで地球全体のバランスができていますが、そこに変なものを付け加えないほうがいいです。人間が変なものを付け加えたら、他の動物に迷惑ですからね。それはともかく、まあ太陽から来たエネルギーで植物が育ち、その植物を食べて動物が育ち、その植物や動物をいただいてわれわれが暮らしているわけで、食べ物もそうです。空気もそうです。気温もそうです。人間なんて弱い動物で、最低マイナス20度ぐらいで最高プラス40度ぐらいの範囲内でないと生きられないじゃないですか。この範囲内にいるっていうのは、実は奇跡なんですよ。火星だって金星だってこうじゃありませんもん。200度とかマイナス200度とか、とんでもない温度であるわけで、地球だけが生命がいられる空気とかの状況です。酸素だって今大体20%ぐらいです。これがもう凄い多い50%ぐらいの酸素だったら死んじゃうんです、人間は。もの凄い少ないとまた死んじゃうんです。ちょうど良い加減なんです、今ね。そうやって天地の恵みというのが、1番目にあります。それから「衆生=人々の恵み」。みんなに助けられて生きていると思います。私がここにこうしていられるのも、私今この服着てるけど、これは私が作ったんじゃないんです。どっかで作って、どっかの人が運んでくれて、どっかの人が売ってくれました。ありがとうございました。朝は地下鉄で来ました。あの地下鉄を私は掘った覚えはないんですよ。誰かが掘ってくれて、誰かが運転してくれているんです。そうして、みんなが力を合わせて生きています。それに対して私たちは自分の力を社会に向かって返していかないといけないと、共同体感覚を持ちたいんだけど。それから「家族の恵み」ね。家族がなかったらどうなるのか。この間の地震と津波でねえ、80何歳のおばあちゃんが1人だけ生き残って、若い人がみんな死んじゃったおばあちゃんがいて、今どうなさっているか知らないけど、たまたまテレビがインタビューしてて、「何のために生きているのかわかんない」とおっしゃったんです。ほんとに僕だってきっとそうなると思うわ。家族みんなが流されて、歳取った自分だけがポツンと生き残ったときに、一体生きている意味って何なのか、何のために生きるのか、何に向かって生きるのか、なんもなくなるじゃないですか。われわれが生きているというのは、「今日も1日頑張って生きていこう」と思うのは、家族がいるからですよ。子どもたちがいて配偶者がいて親がいて、その中で自分の意味があり役割があって生きていくので、家族が僕らの人生の一番確実な意味を与えてくれると思います。それが3番目です。4番目は、これは絶対忘れてはいけない恵み、「先生の恵み」。私(野田)を含めてよ。僕たちが何かを知っているのはなんでか、何であれ何かをしっているのはどうしてか?いつかどこかの先生に習ったから。小学校や中学校の先生もいらっしゃったけど、本を書いた先生もいらっしゃり、テレビなどで解説してくださる先生もいらっしゃり、知識を僕らに与えてくれた方のおかげで僕らの知識があります。自分で発明した知識なんて、ほとんどゼロなんですよ。自分で思いついたことはほんとに少しで、みんな習ったことですね。だから先生の教えがあって知恵がある。だから、この4つの恵みの中で生きてるなって、まず思ってほしい。思ってると感謝の心が出るじゃない。このごろの人はみなこんなふうに考えないから、みな傲慢で、みな木の股から生まれて1人で暮らしていると思うから、「ありがとう」と言いにくいんです。そんなことないって。みんな大変個人主義の悪い方向で、人々が支え合い助け合って生きている観念そのものがない。そんなことないですよ。みんなで支え合って暮らしています。子どもは特に僕たちを強く支えてくれています。子どもがいる「から」頑張れるんじゃない。子どもがいる「から」苦労も耐え忍べるんじゃない。子どもがいなかったらどんなに人生が虚しいか。もう死んじゃったと思ってくださいよ。どれだけがっかりするか。親が死ぬのはそれは順番だからしょうがないわ。親が死んで悲しいけど、まあ、じいちゃんばあちゃんはしょうがないけど、子どもが死んじゃったときに親がどんだけ悲しいか考えて。生きてるだけでも嬉しいじゃないですか。そう思って、ああありがたいなと思えば自然に、「あーりがーとーう」と5文字ですから、言えるでしょう。(野田俊作)