沖縄の位置 野田俊作
沖縄の位置
2002年11月22日(金)
夕方の飛行機で沖縄に来た。さっそく沖縄の仲間たちと宴会をしたが、私はアルコールなしだ。ウーロン茶もカフェインが入っているので避けて、沖縄名物ウッチン茶をいただいた。ウッチンとは欝金(うこん)あるいはターメリックのことだ。沖縄の人はお酒を飲んだ後にこれを飲む。肝臓にいいのだそうだ。今日はお酒も飲まないでウッチン茶だけを飲む。さぞや肝臓がよくなることだろう。
ウッチン茶の他にも沖縄にはめずらしい飲み物がたくさんある。サンピン茶というのは香片茶という字を中国語読みしたものだそうで、内地でいうジャスミン茶みたいなものだ。ジュース類もさまざまあって、シークワーサ(柑橘類の一種)ジュースとかグアバジュースだとか、はてはゴーヤ(苦瓜)ジュースなんてものまである。なんだか日本離れしている。ここは日本の最南端ではなく、東南アジアの最北端だと、沖縄の随筆家、宮里千里が書いているが、たしかにここはアジアに近い。
9時には解放してもらってホテルに帰った。前回来たときはアメリカのアフガニスタン攻撃の前夜で、ホテルには怪しいアメリカ人がいっぱいいたが、今回も何人かのアメリカ人がいて、フロントの傍にあるインターネットのターミナルの前で議論している。イラクに対して早くも臨戦態勢ということだろうか。
イラクが終わると、次は北朝鮮に攻め込むって言うんじゃないだろうね。関西空港で、辺真一『金正日延命工作全情報』(小学館文庫)を買って飛行機の中で読んでいたので、連想がそっちへ行ってしまった。北朝鮮と戦争するとなると、沖縄は大変なことになるよ。北朝鮮は沖縄にミサイルを撃ち込むかもしれない。そういう点でも、ここはアジアに近い。
仮にアメリカが北朝鮮攻撃を決めたとして、今の日本人はどうするんだろう。拉致被害者たちのことでかなり北朝鮮に関する感情が悪くなっているから、大きな反対運動は起こらないかもしれない。なんだか先行きが不安だ。
現代風の演出
2002年11月23日(土)
沖縄での仕事を終わって、夕方の飛行機で石垣島に来た。オペラのDVDを持ってきていて、ホテルでノートパソコンで見ている。昼間は仕事で夜は宴会というのが普通のスケジュールなのだが、お酒を飲まなくなったために、宴会が終わってホテルに入ってもシラフで困ってしまうので、DVDを持ってきた。ワーグナーの『ニュルンベルグのマイスタージンガー』(ベルリン・ドイツ・オペラ+ラファエル・クーベリック・デ・ブルゴス指揮)なのだが、舞台衣装が現代的だ。たとえば、靴屋の親方で名歌手のハンス・ザックスはメガネをかけていて、会議にはスーツ姿であらわれるし、普段は作業ズボンに革の前掛けをしていて、現代のドイツの靴屋さんと同じ感じだ。実際には15世紀だか16世紀だかの人だと思う。
最近はこういう演出が流行っているようだ。私が見たものだけでもいくつもある。たとえば、リヨン歌劇場のオッフェンバック『天国と地獄』、同じリヨン歌劇場のドニゼッティ『愛の妙薬』など。こういう演出をするということは、演出家にそうとう自信があるからだと思う。しかし、大時代的な衣装よりも現代の衣装のほうが、われわれに訴えかける力がはるかに強い。地獄へ連れて行かれて退屈しているユリディス(エウリディーチェ)がテレビを見ながらリモコンで次々とチャンネルを変える、などというのはよく考えられている。
もっとも、衣装や舞台装置に金をかけられないという財政事情があるのかもしれない。仮にそうだとしても、その結果、おもしろい演出が考え出されたのだから、「ひょうたんから駒」ということかな。
沖縄の人々
2002年11月24日(日)
石垣島では、ライフスタイル(性格)を自己診断するワークショップをした。前に沖縄本島でしたことがあるのだが、「対人関係をより重視するか/課題達成をより重視するか」という軸で分けてみると、沖縄本島では対人関係重視型が圧倒的に多く、課題達成重視型はきわめて少なかった。対人関係重視型:課題達成重視型=5:1くらいかな。関西では2:1くらいだ。新潟県でおなじワークをしたら、3:2くらいで、関西人よりも課題達成重視型が多かった。さて、石垣島はどうだろう。やってみると、5:2くらいだ。あれ、これだけ人情の厚い世界なのにおかしいなと思って、課題達成型の構成人員を見ると、どうもナイチャー(内地出身者)が多いみたいだ。やっぱりね。
沖縄は人情が厚い土地柄なので、人間関係を軽視して自分が課題を達成できるかどうかを主に考えるような子どもは、家庭や学校で矯正を受けて、いつしか対人関係重視型に変わってしまうのだと思う。まさか遺伝じゃないと思うんだが。
ともあれ、誰かこれを論文にしないかな。全国を回って、同じワークをして、地域別の分布を調べると、面白い論文になるのではないかと思う。