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スレッドNo.61

私の一句

次打席の夫に手を振る白日傘

草野球での情景。白日傘の人妻と思しき若い女性がグランドに手を振っている。現にバッターボックスに立っている選手にではなく、準備のためベンチから出てバットの素振りを始めた彼女の夫であろう、次打者に対してである。彼女にとって試合展開はどうでもよく、良人の一挙一動だけが関心事なのである。そこで私は、野球場全体からこの若い夫婦の間だけを切り取ってみた。そのアイデアが良かったと自分では思っている。女性の白日傘が炎天下まことに印象的であった。ところで、日傘と言えば白日傘に決まっているかというと最近はそうでもない。結構、黒や柄物の日傘が目につく。しかし夏の季語としての日傘が黒では困る。たまたま女性の日傘が白だったからよかったが、もし黒日傘を差していたら、と考える。事実には反しても白日傘としただろう。これを「黒を白と言いくるめる」と言う。

この稿は俳誌「白桃」に掲載されたものに加筆して再掲載した。

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