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スレッドNo.87

私の一句

(この稿は俳誌白桃に掲載されたものに加筆し再掲載するものです。)

退りつつ進んでをりぬ踊の輪

盆踊りは、一曲終わると全体が数メートル前に移動しているから、前進していることに間違いはないのだが、途中の一部分だけ捉えると、逆に後退しているようにも見える。何しろ前進、後退が頻繁に切り替わり、おまけに全員で手を叩くところがあったりして、見る方を幻惑する。
これが、水前寺清子なら「三歩進んで二歩退がる」と明快だ。差し引き一歩前進していることが分かる。
この辺りの機微が冒頭の一句になった次第。
実はこの句、私が俳句を始めて間がない頃、無謀にも中日俳壇に投稿した句である。無謀とは言っても、五十二円の官製葉書一枚の投資のほかに当方に失うものは何もないのだし、ダメモトのつもりだったのが、何と長谷川久々子先生の特選一席に入った。ビギナーズラックはあるのである。
ところで、このビギナーズラックなる言葉、競馬や競艇などのギャンブル用語として使われるとか。賭け事の初心者が、よく考えもしないで馬券なり船券を買ったら、これが大当たりしたような時に言うらしい。この幸運が仇になり、どっぷりギャンブル漬になり、その後の人生が狂ったり、家庭崩壊などという悲劇も無いではないと聞く。
私の場合、賭け事におけるこの手の僥倖が一切なく、幸か不幸かギャンブルには嵌まらなかったのだが、その代り、俳句の方にはしっかりハマってしまった。

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