特選句の選評
アイビ-さん、お世話いただきありがとうございました。
小生の特選句の選評です。
8、凩や片意地張りて歩きをり
老いの一徹か?年を取るとともに丸くなるどころか何事にも片意地を張る
人がいます。作者自身のことを詠んだのかどうかはわかりませんが、わが身に
置き換え思わず苦笑しました。
毎日の日課とは言え、何も凩の中を行かなくとも良いのにと・・・。
16、八十路てふ未踏の一歩年明くる
以前、俳句の先生が「60才を還暦、70才を古稀、80才を傘寿と言って
お祝いをするが、これには深い意味があるように思う。不思議なものでその年
齢を境にして体調に変化が生じやすいように思う。人生80年時代と言われる
ようになったが、やはり80才を越えると大きな変化がある」とおっしゃって
たことを思い出しました。
私自身、八十路の半ばを越えましたが、まさしく未踏の坂道を歩いています。
作者は、新年に傘寿を迎えいよいよ八十路に踏み入ることになるのでしょうか。
「年明くる・・・」には、大いなる決意のようなものを感じ取りました。ます
ますのご健勝そしてご健吟をお祈りいたします。
29、鳥の目で見たる世間の去年今年
昔から「鳥目」と言って鳥は夜間は見えず人間よりも視力が劣ると言われてい
ますが、専門家の話ではそれは全く逆で鳥は人間の見えない紫外線が見え、視界
も広いうえに、何よりも遠いところと近いところを同時に見ることが出来るそう
です。作者はそこに着目して、鳥たちには今の人間の世界がどのように見えるの
だろうと想像したのでしょう。
世界では果てしなく続く悍ましい戦争、日本では金にまみれた政界そして元日
早々の能登半島地震など。鳥たちに感想を聞いてみたいですね。
大変面白い句だと思いました。
以上