野の風です。
夏の句会結果を発表します。
不都合な点かありましたら投稿よろしくお願いします。楽しい感想お待ちします。
アイビーさんの目の手術無事なされることお祈り申し上げます。
令和7年 夏の句会結果
2025年「夏の句会結果」
高得点者
16点 てつを
15点 野の風
高得点句 ( 同点は清記順 )
6点 他人(ひと)は他人(ひと)吾は吾なり冷奴 (アイビー)
5点 米櫃の卯の花腐し古古古米(てつを)
5点 一徹は親父ゆずりよ冷奴 (てつを)
5点 紫陽花のけふの色出す雨の糸(新之助)
4点 炎帝を味方に畑の豊かなる (てつを)
4点 炎帝に逆らふ気力失せにけり(泉也)
4点 向日葵の迷路に弾む子らの声(泉也)
4点 紫陽花に傘の雨音似合いけり (野の風)
各人・各句の得点及び選者一覧
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アイビー 11点
1,炎帝を諫むる臣の疾く出でよ 1新之助
2,他人(ひと)は他人(ひと)吾は吾なり冷奴 6泉也 ◎野の風 ◎新之助 てつを
3,初めての町に既視感百日紅 1てつを
4,万緑や蓋の飯から食ひ始め 0
5,隣まで来たる朝刊明易し 1 野の風
6,噴水に翳が伸びくる忠魂碑 2泉也 てつを
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てつを 16点
7,深井戸の水に親しみ冷奴 1野の風
8,炎帝を味方に畑の豊かなる 4 ◎アイビー ◎ 新之助
9,若者に習慣(ならひ)を問はれ青嵐 0
10,米櫃の卯の花腐し古古古米 5 泉也 ◎野の風 アイビー 新之助
11,球界の向日葵天に輝けり 1泉也
12,一徹は親父ゆずりよ冷奴 5◎泉也 野の風 アイビー 新之助
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泉也 13点
13,炎帝に逆らふ気力失せにけり 4 野の風 ◎ アイビー 新之助
14,咲き誇る百日紅瘤見え見えに 0
15,向日葵の迷路に弾む子らの声 4野の風 アイビー 新之助 てつを
16,噴水の飛沫浴びゐる石の像 0
17,蜘蛛の囲を先づ取り払ふ父祖の墓碑 3 アイビー 新之助 てつを
18,囲を張りて待ち構へゐる女郎蜘蛛 2 野の風 てつを
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新之助 11点
19,炎帝の夕べのおかず決めかねて 1野の風
20,百日紅夕べの風を待ってをり 1泉也
21,梅雨最中つひに心も濡れてをり0
22,紫陽花のけふの色出す雨の糸 5泉也 野の風 アイビー ◎てつを
23,朝寝坊笑ふかに来て夏の蝶 2泉也 野の風
24,時の日や鯨激しく潮を吹き 2 アイビー てつを
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野の風 15点
25,百日紅古刹にありて紅ほのか 2◎ 新之助
26.冷奴今日も一日を終わりけり 3泉也 ◎ アイビー
27.天命と思いて書けり桜桃忌 2◎ てつを 2
28,夏空に雲もくもくと何描く 3◎泉也 新之助
29.野の花をたつぷり活けて夏きざす 1てつを
30.紫陽花に傘の雨音似合いけり 4 泉也 アイビー 新之助 てつを
投句者の選句一覧
泉也
2. 6. 10.11.◎12. 20.22.23. 26.◎28.30
野の風
◎2,5,7,◎10,12,13,15.18,19,22,23
アイビー
◎8 10 12 ◎13 15 17 22 23 24 ◎26 30
てっを
2,3,6,15,17,18,◎22,24,◎27,29,30
新之助
1、◎2,◎8,10,12,13,15,17,◎25,28,30
野の風です。
野の風の感想です。
隣まで来たる朝刊明易し (アイビー)
夏の夜の明けがたが早くなり隣まで朝刊がもう届いている。すっかり夏も其処まで来ているのですね。
一徹は親父ゆずりよ冷奴 (てつを)
てつをさんは冷奴一つにも親父に似て質素に耐えることが出来る性格をもっているのですね。
紫陽花のけふの色出す雨の糸 (新之助)
きれいな俳句ですね。七変化に色をいろいろ変えながら雨の雫を落としている状況が見えてきます。
噴水の飛沫浴びゐる石の像 (泉也)
石の像は金沢の兼六園の歴史的に有名な方の像とのこと、無いものねだりで見てみたいいですね。
てつをさんの質問に答えて。
天命と思いて書けり桜桃忌(野の風)
太宰治は津軽の大地主の6男として明治42年に生まれ,戦後昭和23年6月13日愛人と心中してこの世を去りました。そしてこの日を桜桃忌として名付けられました。
若いときから文学に志しそれを天命として意識し文学に打ち込みました。しかし時には共産主義運動に惹かれ、それとの脱落をくりかえしました。
候補に上るも芥川賞に落選,絶望の中でもいろいろな作品に挑戦続けました。
幼い頃から愛情に恵まれず、今でも彼の作品は絶望の中でも「愛」を求める作品として若者によまれている。
彼の文学碑には下記の文字が刻まれている。
「選ばれてあることの恍惚と不安と二つわれにあり」
泉也です
自作あれこれの続きです
噴水の飛沫浴びいる石の像
金沢の兼六園の情景です。下五石の像、歴史的に有名な方の像なのですが思いだせず石の像としました。やはりここは具体的な名でなくては駄目ですね。投句してから「裸婦の像」にすればと思いました。それともう一つ漢字「飛沫」かなの「しぶき」の方が良かったのでは?。
蜘蛛の囲を先づ取払ふ父祖の墓碑
何か月ぶりかで先月墓参りした時、掃苔の一番は蜘蛛の囲払いでした。最初下五「父祖の墓」としていたのですが、実際蜘蛛が糸張っていたのが墓石だったので墓碑としました。
囲を張りて待構へゐる女郎蜘蛛
前句を推敲していて、女郎蜘蛛の名がある蜘蛛が居る事に気づきました。昭和の私にとつて女郎と云えば遊郭、客を待っている〇〇たちの立ち居振る舞いを思い浮かべ、よしこれを俳句にしようと詠んだ句です。
今の時代は不遜ですが、おかしみ・面白味を覚えたので投句しました。
途中で幹事交代というアクシデントがありましたが、幸い、野の風さんに引き受けていただき感謝に堪えません。アイビーの感想です。なお、私の白内障の手術の日程から、しばらくの間、コメントが出来ません。ご了承願います。
炎帝を味方に畑の豊かなる(てつをさん)
炎帝の句は、普通だったら暴戻な専制君主に悲嘆にくれるスタイルが多いのですが、この句は逆に炎帝を味方につけるというのが面白いと思いました。逆転の発想がお見事。
炎帝に逆らふ気力失せにけり(泉也さん)
てつをさんの句とは逆に、初めから戦うつもりがなく、全面降伏の体です。そこになんとも言えない味とユーモアが漂っています。
時の日や鯨激しく潮を吹き(新之助さん)
上五に「時の日」と置いて、一体何が始まるのかと思えば、「鯨激しく潮を吹き」と来たのに驚きました。二物衝撃の意外性が良い効果を出しています。
冷奴今日も一日を終わりけり(野の風さん)
職を退いても、なにやかやとしなければならいこと多いのです。中七、座五の「今日も一日を終わりけり」に実感が籠っています。
野の風さん
今回の句会幹事有難うございました
いつもの泉也の自作あれこれです
炎帝に逆らふ気力失せにけり
この連日の暑さ、もう何する気力も消え失せボ~としています。そうだここに投稿するの忘れていたと慌てて投稿しています。気力がなくなった事、歳のせいを炎天のせいに逃げたのを表現しようとしたのですができませんでした。
咲き誇る百日紅瘤見え見えに
毎年夏になるとみる近所の庭の百日紅、瘤丸出しで「俺は樹齢を重ね瘤ができているがこんな立派な花を咲かせているぞ」と。私もいつも歳92才を売り物にしているがこの百日紅に負けた。こんな気持ちを詠みました。俳句としては駄目・「見え見えに」を他にないかと考えたのですが・・・。
向日葵の迷路に弾む子らの声
テレビ見て詠んだ句。ごく当たり前の情景を当たり前に表現。子供たちの歓声を聞くとなんかこちらも嬉しくなります。この句さぞかし類句が多いと思います。
御免なさい、急に用事を思い出しました。今日はここまで、明日続きを投稿します。
てつをです。
野の風さん、夏の句会の幹事お疲れ様でした。
それにしても、連日の異常な暑さに心身ともにダウン状態です。そのせいか、皆さんの感想など
投稿の出足が遅いですね。
以下、小生の選評です。
2、他人は他人吾は吾なり冷奴
「 他人は他人吾は吾なり」は、よく使われる常套句ですが、ともあれ季語「冷奴」との取り
合わせの妙が生きています。
冷奴と言えども、木綿派と絹派があり、また、好みの薬味も人によって「生姜」、「ネギ」など
様々です。正しく「 他人は他人吾は吾なり」です。
15、向日葵の迷路に弾む子らの声
夏の代表的な花である「向日葵」、猛暑にの中を咲き誇っています。その向日葵畑の中でこれ
また暑さに負けずに遊んでいる子らの弾む元気な声。子供時代が懐かしく思い出されます。
情景が伝わる素直な佳句だと思います。
22、紫陽花のけふの色出す雨の糸
何といっても、「けふの色出す」の表現に感服いたしました。どんな色なんでしょうか?・・・
想像がふくらみます。紫陽花と雨との取り合わせはありふれていますが、「雨の糸」としたことに
よって「けふの色」との関係性にまで想像が発展していくように思いました。
「糸のような雨」と言う表現はよく見聞きしてきましたが、「雨の糸」は知りませんでした。調べて
みて、歌謡曲の題名や歌詞の中によく使われていることを知りました。
27、天命と思いて書けり桜桃忌
意味深な俳句です。天命と思い何を書いたのでしょうか。桜桃忌からまず「遺書」が連想されま
すが・・・ 「天命と思い」との措辞が読み手にはなかなか理解しづらいところがあります。
小生だけが、特選でいただきましたが、作者の作句の背景などをお聞きしたいものと思います。
以上
新之助です。
てつをさん、今回の句会1位おめでとうございます。
また、野の風さんは、今回はアイビーさんの突然の依頼にもかかわらず、
幹事をお引き受けられ、感謝です。その中での高得点さすがですね。
では、小生の選句感想です。
☆他人(ひと)は他人(ひと)我は我なり冷奴(アイビー)
いかにも作者ならではのユーモアのある句。調べも最高です。
☆炎帝を味方に畑の豊かなる(てつを)
大抵の人は炎帝を敵視しているのに、作者は炎帝を味方にした
ものがあると詠われた点、さすがですね。
☆向日葵の迷路に弾む子らの声(泉也)
子供の頃、迷路遊びをした時の記憶がよみがえる楽しい句です。
☆百日紅古刹にありて紅ほのか(野の風)
古刹とは、「古い由緒ある寺」との由。
作者はお住まいの中もしくは、京都などにある由緒ある古い寺
の中で咲いていた百日紅の花がほのかな紅色なのをご覧になり、
「これぞ百日紅なり」と鑑賞されたものと思いました。
いつものように、ほかの皆様の感想もお聞きしたいです。