選評
新之助さん、夏のミニ句会の幹事ありがとうございました。
小生の選評です。
〇 卒寿来て未だ余白あり新茶汲む
人生100年時代、卒寿とてまだまだ余白があります。
「新茶汲む」と詠んだことで、作者のこれからの人生への
意気込みを感じます。頑張りましょう。
〇 夏めきて陽に力あるけふの空
夏が来て暑さが増してくると言うごく当たり前のことを
詠んだ句です。でも暑いと言う言葉を使わずに「陽に力ある」
としたことによって、この句は見事に生まれかえったように
思います。
〇 河骨の星の如くに濠に浮き
典型的な花鳥諷詠の俳句です。俳人は、類句、類想を殊更に
排しますが、元々、花鳥諷詠の場合はそれは避けられないもの
だと思います。作者は、水に浮いている河骨の黄色い可憐な花
を見て感動し、それを素直に星に見立てたものと思います。
〇 起重機に退かぬ構への鯉幟
五月空に泳ぐ鯉幟の近くで起重機による土木工事が行われて
いたのでしょうか。「退かぬ構へ」とは言い得て妙なりです。
風を受けて翩翻とひるがえる鯉幟の様はまるで起重機に立ち向
かい一歩も引かぬ構えだと言うのです。
心地よい五月の空が想像されます。特選にいただきました。
以上