選評
野の風さん、幹事ご苦労様でした。小生の選評です。
○ 年賀状互いの生の証とも
公務員をしていた関係で異動のたびに職場の関係はもとより仕事関係の
付き合いが増えて行き最も多い頃は500枚を超す賀状を出していました。
妻が郵便局の職員に何の商売をされていますかと尋ねられたこともありま
した。
現在は200枚程度に減りましたが、この200枚はまさしくこの句の
ようにお互いの無事の確認、生の証の年賀状です。
それにしても、最近、年賀状しまいをする人が増えてきたのは淋しい限
りです。
○ 雪吊の彼方に鎮座岩木山
よく俳句を写真や絵画と比較して語られることがありますが、この句は
一枚の絵や写真に収まりきらない壮大な景を一句の中に詠み込んだ句だ
と思います。
ほとんど雪を見ることのない地域に住む小生にはとても羨ましい景色です。
○ 病床の妻にさしこむ小春かな
入院中の奥様に対する作者の優しい心遣いが伝わってきます。おそらく
その日は穏やかな小春日が窓からさしこみ、奥様の病状も落ち着いてお
られたのではないかと察します。
下5の「小春かな」がその総てを語っているように思います。
○ ひとりでにドアが閉まって神の旅
泉也さんが並選で私が特選にいただいたのですが、俳諧味十分な句だと
思います。ドアが閉まったのは神社の社務所のような所なのでしょうか?
それとも、神が旅に出て留守であることを比喩的にかけた措辞なのでしょ
うか? いずれにしても「おかしみ」のある一句です。
なお、私の「投釣りの竿の放列浜小春」に多くの選をいただきありがとうご
ざいました。
この句は、先日、大阪府南部の関西国際空港の対岸の海岸線で目撃した光景
です。海岸線に沿って「ロングパ-ク」と言う公園が整備されていて、そこに
グラウンドゴルフのコ-スも設けられています。そこで大会があり、その日は
穏やかな小春日和で多くの釣人が竿を並べていました。
以上