メディアの変遷 その6 業界例 辞め検士業
不動産営業マンと雑談しているときに顧客の属している業界によって、考え方が全然違っていると感慨深く言ってました。私も製品を企画開発製造して市場に売り込む40年間の経験から顧客業界のエコシステムとバリューチェーンを熟知しないと製品が売れないことを経験してます。人は、所属する組織に大きな影響を受けると理解してます。学校でも会社でも自営業でも家庭でも所属する組織に影響を受けます。長年所属すると一生の習性となって人を型作ります。人を包む組織もメディアとしてとらえると理解しやすいです。この人は、何故こういうことを言うのかとかは、その人の所属する組織とか環境を知ると納得できることが多いです。
●郷原弁護士の話しを聴いて検事の業界が垣間見えた
辞め検という言葉は聞いていたのですが、お話しを聴いて納得しました。弁護士ですが、実際は、検事が民間に横ずれした民間の検事でした。仕事のポリシーは、犯罪の兆候を絶対に見逃さないために、常にどんな些細な項目でも犯罪の兆候がないかと思考をめぐらすポリシーです。こういう検事の業界に数十年在籍すると退職しても身に染みこんでいるので、一生抜けません。ですので、辞め検は、弁護士として出来る仕事の範囲が制限されます。例として、郷原弁護士の事務所は、コンプライアンス専門です。コンプライアンスとは、企業が法律や社会ルールに抵触してないかチェックする活動です。まさしく犯罪がないかチェックする仕事ですので、辞め検にぴったりのお仕事だと納得しました。郷原弁護士には、アディーレの石丸弁護士のしている庶民の小さな悩みを解決するお仕事は、向いてないと思います。
●辞め検で失敗した例
若狭弁護士も辞め検ですが、こちらは企業顧問をしてます。エクシア合同会社という投資詐欺が疑われている会社の顧問をやって2億円も収入をえているそうです。エクシアは、若狭弁護士の犯罪捜査能力を逆手にとって、自分達の投資詐欺まがいのビジネスを法に触れるか触れないかのギリギリの線をチェックしてもらうために高額報酬で雇ったと理解してます。辞め検の特徴を逆手にとったビジネスと理解しました。
●辞め検の得意業務はAIに代わられる
郷原弁護士のお話しを聞くと、理系っぽさが非常にあります。拘束条件内で可能性のある犯罪を徹底的にロジカルに考察して挙げるという緻密な作業をされてます。郷原弁護士は、東大理学部卒ですので、バリバリの理論好きだと思います。多分、検事の中でも論理を組み立てる仕事が得意で有名だったのではないかと想像します。一方、限定された条件を与えられて論理学習をするなら、AIが得意なので、検事の仕事の一部はAIにやらせることができると感じました。ですので、AIの時代では、辞め検の仕事は、AIに代わられて辞め検の能力だけでは食っていけなくなる時代がここ10年以内に始まると考えます。これは辞め検に限らず士業全体に言えることで、AIが最も得意とするお仕事が士業であるということです。
訴訟、裁判のお仕事は永遠に残りますが、コンプライアンス相談など法律と照合してチェックする仕事はAIが得意ですので、郷原弁護士の事務所も10年先には、厳しくなると想像します。
●業界の型にはまらないように生きる
全ての業界は、メディアの変遷(インターネットとAI、IT技術)に影響されて変化せずにはいられません。しかし、人が業界に何十年も慣らされてしまった習癖は、なかなか抜けませんので、時代とのミスマッチがおきて業界が衰退します。そうすると、以下の対処法が考えられます。
①リストラの場合
人がリストラされて別の業界への移動が発生します。その場合は、新たな業界の習癖にならないと人は生きていけません。ですので、自分の居る業界の習癖を熟知して、他の業界の習癖を研究して違いをしっかりと認識しておくことが、重要な生き方となります。
②企業を生き残らせる
リストラに至る10年くらい前なら、企業の体質と新事業を起こす活動で生き残りを実現する方法もあります。今まで触れたことがない他業界のスタディから始めて自社の体質がどの業界なら、参入できるか検討して、ターゲット業界に接触しながら自社の得意が生きるビジネスを企画して試験してみる活動を10年かけてやれば、どこかにひっかかりができますので、本業が時代遅れになっても、希望の新規ビジネスがあれば銀行も見放すことがないので、リストラは回避できるかもしれません。