ほんとだ
>彼女たちが背負うのは罪ではなく自分自身
>この物語が問うているのは自分の在り方
御大の仰る通り、「あまねの闇落ち」そのものを深く掘り下げることはしませんでしたね。今年度のシリーズは過去に犯した過ちに対する贖罪よりも、受け入れ難い自己の資質をどう受容していくかにスポットを当てていることが改めてよく分かるエピソードでした。
それにしてもマリーのおネェキャラは「頼れる大人ポジ」を示す記号として大変重宝しますねぇ。これが同年配のオジサンだと、JCと会話している時点で微妙に犯罪臭が漂ってしまいますからw(苦笑)。
>『ペンギン・ハイウェイ』
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「泣くな、少年」
「ぼくは泣かないのです」
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「父さん、ぼくはお姉さんがたいへん好きだったんだね」とぼくは言った。
「知っていたとも」と父は言った。
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さっき原作を読了しました。『夜は短し~』とファンタジーテイストは共通しているとはいえ、まさか「いろんな意味で大人の階段を上りたくてうずうずしている」根拠の無い全能感に満ちた小学四年生を主人公に据えた成長物語だとは思いませんでした。思いの外抽斗の広い作家さんでいらっしゃるみたいですね(アニメは未視聴なので主人公の「アオヤマ君」と「お姉さん」については、類似したモチーフが登場する水上悟志短編集『放浪世界』所収の中篇「虚無をゆく」の登場人物をイメージしながら読み進めました)。
結局街を襲った怪奇現象の謎も、「お姉さん」の正体も何一つ解明されないまま物語自体は終わるんですが、不思議とモヤモヤ感はないですね。それら全てが「大人という存在が抱えている謎」と「大人になってすら解決されない謎」を寓意していると考えればそれでいいんじゃないかと私は思いました。大人の仲間入りをしようと何かと背伸びしたがり、一方では新卒の小学校教諭に仄かな恋心を抱きもした「あの頃の自分」を思い返しつつ、ちょっとばかし懐かしい気持ちになれた読書体験でもありました。
>先に立つ人とその背中を追う人との関係性が色々なパターンで存在してる作品
確かに。先日のアニメ最新話でも、「最強の盾と最強の矛」昴&雪待コンビが東雲三日月のことを、どこかしら師匠と仰いでいるように見受けられますものね。それが水上氏の後の作品の『スピリットサークル』のフルトゥナとレイ、連載中の『最果てのソルテ』の主人公ソルテと叔父ブラックの関係性にも引き継がれて行っているように思います。