プリキュア本放送休止週の読書より
・森見登美彦『有頂天家族』(2007年発表)
・万城目学『鴨川ホルモー』(2005年発表・商業誌処女作)
森見氏同様、京都を舞台としたファンタジー風味の作風の持主ということで、今回万城目氏の著作を今更ながら初めて読んでみました(森見氏より年上だが商業誌デヴューは森見氏の方が早い)。身の丈20cm程度の鬼(式神?)を使役して大学対抗バトルを繰り広げるという設定はそれなりに楽しめましたが、惜しむらくは物語の脇を固めるはずの年長者らの人物造形がやや貧弱だったのが残念でしたね。あと鬼を操る言葉という設定の「鬼語」の実戦使用描写が殆ど無かったのもマイナス点でした(『S☆S』の安藤さんを彷彿とさせるツンデレ眼鏡美少女は中々魅力的だったんですけれどねw)。
森見氏はやはり安定して面白いですね、読後感も何とも爽やかでいい。これだけ多種多様なクセ者揃いの登場人物をごった煮のようにぶっこんで、しかも取っ散らかることなく中盤から終盤にかけての盛り上げを作りつつ、怒涛のクライマックス&大団円を迎えさせるその構成力には素直に脱帽です。本作のテーマはやはり“家族の絆”ということになるでしょうか。『ペンギン・ハイウェイ』を読んだ時にも感じていましたが、森見氏は「家族に恵まれた」方なのだなぁと素直に思える作品でした。次は“四畳半シリーズ”に手を出してみようかな。
>「ぴえん」という病
>過剰なまでの承認欲求とコミュニケーション欲求(とその不全)
>自分というものの価値を見失っている
こういう若者は昔より増えているんでしょうか?仕事場での塾生やバイトの大学生を見る限り、余りそういう印象は無いのですが。まぁ他人がすることに私は基本興味が無いから、単に気付いていないだけかもしれませんね。
個人的なことを言えば、思い起こせば中学生ぐらいからこのかた、読書にせよ映画にせよ自分が面白いと思う作品を周囲の人間に伝えて共感された経験がまず無い(現在ですら愛妻や愛娘らに分かってもらえないw)ですね。ゆえに自分が価値あると考えるモノについて承認してくれなくて一向に構わないので、黙って放置しておいてくれというのが偽らざる心境ですかね(苦笑)。
>本人の適性と無関係に需要が発生する気持ち悪さ
ヤン・ウェンリーといえば、征韓論に敗れて下野し、故郷鹿児島でのんびり農業や狩りをして、温泉三昧の生活を送っていた時期の西郷隆盛とイメージが重なりますかね(実際に政界から引退するつもりであったかどうかについては諸説あるみたいですが)。結局西郷がつくった私学校の生徒が明治新政府の挑発に乗って火薬庫を襲撃してしまったため西郷がリーダーとして立たざるを得なくなり、そのまま西南戦争へとなだれ込み切腹して果てるのですが(享年49歳・想像より若い!)。