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スレッドNo.480

幹部の一人が陥落寸前なのに

 上長からの教育的指導も粛清も一切無いっていうのが、過去シリーズの敵組織ではお目に掛かれなかった優しさでしょうか…まぁ単なる監督不行き届きでしょうけれど(笑)。


>チョッキリ団抜けるよりプリキュア見たさに襲撃って思考パターンになるか?

 その思考回路って、推し(=恋人)逢いたさに自宅に放火した八百屋お七そっくりですねw(笑)。


>AI
>相談や雑談相手として使う用途もあるようで「(全肯定してくれるので)癒やされる」という声は聞きます

 愛玩動物とのやり取り同様、他の人間が介在しないコミュニケーションだけに安心して使えるのかもしれないですね。『かぐや様』の伊井野ミコが声優のイケメンボイスに癒されているエピソードを思い出しました(笑)。


>これを踏まえると、本当に親切心や友情でパーティーを開いたんじゃないかと思えますね

 どこかしら浪花節的な趣を感じますね。映画は未見ですが、私も同感です。毀誉褒貶の激しい人物ではありますが、兎にも角にも大統領に再選されるだけの支持を米国民から広く集めた訳ですから人間的魅力が無い筈がない。この辺りトランプ大統領は私にはふた昔ほど前の、義理堅く情に脆い本邦の党人派議員らに重なって見えますね(田中角栄とか大野伴睦あたり)。

 しかし(昔話とは言え)自国の指導者を主人公に据えたエンタメ作品が現在進行形で作られてしまうっていうのは、正直本邦には無い文化ですよねぇ…。今の日本で岸田文雄や安倍晋三が主役の映画が撮れるかといったら、間違いなく忖度塗れで制作側が身動き取れなくなるでしょうし、そもそも世間にそこまでのニーズがあるとも思えませんしね。


>身をやつす

 広辞苑によると「(人目につかないように)みすぼらしい恰好をする」の意なので、「身を落とす」・「身を沈める」とかの方が良いかなぁと思います(←余計なお節介w)。


>今週の(読みかけの)読書

 『基軸通貨』に引き続き、EUの内実を深堀りしたくなって読んでみました(↓)。

 ●ヤニス・バルファキス『黒い匣 (はこ) 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命 ― 元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層』明石書店2019
 https://amzn.asia/d/jkcRe0D

 政治経験皆無の経済学者が何やかんやで財務大臣に就任し、ギリシャ経済立て直しのためEUの頑迷固陋なお偉方らと丁々発止の交渉を繰り広げ、健闘むなしく敗北し大臣職を辞するまでの182日間の壮絶かつ克明な記録です。本書では一貫して2009年に発覚したギリシャ金融危機の対策としてEUが設けた「金融支援プログラム」なるもののデタラメさ加減がこれでもかとばかりに告発されていて、これが仮にも大国のトップエリートと呼ばれる人達の所業なのかと、何ともやり切れない気持ちになりました(原題は「アダルツ・イン・ザ・ルーム(部屋の中の大人たち)」ですが、これは「オトナなのはガワだけw」だと揶揄する著者の痛烈な皮肉ですねw)。

 …とはいぇ、流石に584ページは長いのでまだ全部は読めていません(漸く半分を超えたところ)。まぁ事の顛末は著者も既に序文でネタばらししているので、概略はほぼ摑めました(↓)。

◆◆◆
 
 日本とギリシャはまったく違う。どちらも古代からの文明を誇る国だが、ギリシャはずっとまわりの国々に対して貿易赤字を抱えていたのに対し、日本は世界的にみても貿易黒字のサラブレッドだ。また、日本は19世紀には工業化を始めていたが、未だにギリシャは相対的に低開発の状態だ。そして何よりも、日本では四半世紀にわたる不況から脱却すべく、中央銀行が(1999年のゼロ金利政策や2001年の量的緩和政策のように)非伝統的な金融緩和政策を世界に先駆けて実施してきたのに対して、ギリシャにはそもそも自前の中央銀行がなく、貨幣供給を欧州中央銀行(ECB)に依存しており、自前の財政政策を策定する権限も著しく制約されているのだ。……

 1929年の世界恐慌の直後という時期に、日本政府は金本位制への復帰を断行した。日本の通貨と、金(きん)や外国通貨との交換比率を固定したのだ。設備投資が急減し、国内で生産される財(モノやサービス)への需要が崩壊したときに、こうした固定為替相場を維持するための唯一の方法は、いわゆる「対内切り下げ」や「緊縮策」と呼ばれる政策を発動することだ。外国の労働や財に対する競争力を高めるために、通貨価値を下落させるのではなく、国内の賃金や物価を引き下げることだ。

 しかし緊縮策には二つの問題がある。一つ目は、賃金は必ず物価よりも早く下落するので、終わりなき不況のスパイラルが引き起こされることだ。そして二つ目は、債務(!)という金融変数が、賃金や物価と同じぐらいには速く低下しないことだ。金額の変わらぬ債務を返済する原資となる所得が急減し、他方で負債が膨張して企業の破産が急増した。日本の国民所得が1931年までに2割も縮小したのは、そのためだった。

 2010年のギリシャを、まったく同じ現象が襲った。私たちの世代にとっての世界恐慌が、すなわち2008年の米国発の金融危機が起こったとき、私の祖国はユーロという名の現代版金本位制を採用していた。1929年当時の日本政府と同様に、欧州連合の支配層も対内切り下げによって、すなわち緊縮策によって、ギリシャをユーロ圏内に留めようとした。賃金は4割以上も低下したが、物価はそれと同じようには下がらず、債務はまったく減らなかった。こうしてその後の4年間に、企業の破産が蔓延し、国民所得は25%以上も下落し、ギリシャは深い傷を負った。日本と違って、ギリシャの惨事は金融危機から10年も続いており、未だに猛威をふるっているのだ。

 日本では、緊縮策によって金本位制を維持しようという破滅的な過ちは、世界恐慌から2年後の1931年末に放棄された。1933年までには力強い経済成長が復活したのだ。しかしギリシャの状況はまったく異なる。ここ数年、日本を含む世界中にギリシャ経済の復活を伝えるニュースが拡散されてきたが、それらは正しくない。私がこの段落を書いている現在でも、共通通貨ユーロの欠陥構造はそのままで、永遠に緊縮策を続けようという愚かしい政策が続いているからだ。その結果、本当の経済回復は訪れず、人道上の危機は続き、若い男女が大挙してギリシャを脱出しているのだ。(本書p.6~p.9 日本語版への序文より抜粋)

◆◆◆

 ここまでの読書からは:

 ① EUなるものは、自国の債務は全て弱小加盟国&社会的弱者らに無理矢理にでも肩代わりさせるドイツ一強の組織体に過ぎないこと(あのフランスですら逆らい得ない)。

 ② 民主主義手続きを経て合法的に選出された著者らによる「ギリシャ国民の民意を反映した、至極真っ当な異議申し立て」も、結局は“力の論理”によって、つまり選挙の洗礼を受けていない一部のテクノクラート(技術官僚)らによって粉みじんに粉砕されてしまうこと。

 ③ 日本のように「金融政策におけるフリーハンドを担保する自国通貨が存在すること」それ自体が、そうでない国にとっては羨望の的となり得るものであること。

などが印象に残りました。

 著者のバルファキスなる人物も中々に面白い人ですね。スキンヘッドに革ジャンを着てバイクを乗り回すなど、格闘家(かその筋の危ない人)に見紛うほどのワイルドなビジュアル全開の一方で、ホメロスの詞やゲーテの『ファウスト』、哲学者ルソーの寓話などからの自在な引用などからは、如何にもヨーロッパの知識人らしい人文学的教養の豊かさが伝わってきます(上で引用した日本語版序文でも、本邦における戦前最大最悪の景気後退だった昭和恐慌(1930~31)について極めて正確に叙述されていること一つを取ってみても、大変な勉強家であることが窺えます)。

 読み切るのが何時になるかは分かりませんが(来週日曜日は出勤だしなぁ…)、また思う所があれば追加コメントしますね。

編集・削除(編集済: 2025年05月19日 22:49)

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