ラスボスが小粒過ぎて(苦笑)
うーんと、要するに後輩(シナモン)とのガチ実力勝負での跡目争いに負けたのを逆恨み ⇒ 闇落ちしたって理解で良いですか?イイ年した男の嫉妬は見苦しいなぁ…それはそうと2023年も宜しくお願い申し上げますw。
>一部と全体を比較しても何の意味もない
>ベクトルが違うだけ
奇遇ですね。年末年始にかけて、偶々同じ著者のシリーズ本『世界のニュースを日本人は何も知らない』1〜3巻を読んでいました(4巻目は図書館に無かったので未読)。
全体の論調としては、著者の主観に基づいて恣意的に取り上げたトピックについて「海外のココが凄い、それに比べて日本はてんでダメ」と「海外のココはひど過ぎる、日本人よもっと自信を持て!」の繰り返しだなぁという印象で、御大の感想に完全に同意しますね。
確かに海外滞在経験の長い著者ならではの、肌感覚から出て来たと思しき鋭い指摘も数々あります。ですが「世界のニュースを何も知らない」などと私を含めた日本人読者を揶揄するかのような物言いや、安易なレッテル貼り(例えば「ドラゴンボールの悟空のような髪型をした意識高い系の日本の若者(1巻p.51)」・「左翼の人々は恵まれた環境に産まれているので(2巻p.119)」)等々が、話の説得力と品格とを大きく損なっているように見えますね。
>学校教育については日本と正反対
>論理や思考力が試される
大分昔に、英国の中学社会の教科書の邦訳を読んだことがあったのを思い出しました(↓)。
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%80%90%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E3%81%AE%E8%A1%9D%E6%92%83%E3%80%91%E2%80%95%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8%E2%80%95-%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA34-%E3%83%9F%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%AB-%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%BC/dp/4750335487
英国史に関する記述(アングロ=サクソン七王国や、それらを最終的に征服し滅ぼしたノルマン人(ヴァイキング)の活躍はおろか、古代ローマ帝国属州のブリタニアすらも)がごっそり削られていて、新大陸アメリカへの入植(1607年の最初の北米植民地ジェームズタウンの建設)から書き起こしていたのには正直驚かされたものです。個別事項の暗記ではなく、確か「あなたがマウントバッテン卿(=第二次世界大戦直後のインド総督)なら、以上のような主張を掲げる反英独立運動に対してどのように対処しますか。話し合ってみましょう。」みたいなグループディスカッションを促す設問が多々あったように記憶しています。
正直教える先生と教えられる生徒共々に並々ならぬ力量が無いと、この教科書を用いた授業は成立しないんじゃないか、どうやって教育現場はこれを使いこなしているのだろう、と職業柄常々疑問に思っていました。が、今回著者の本を読んで疑問が氷解しました(↓)。
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イギリスについていえば、私立と公立の教育格差は凄まじく、私立学校の教育内容は公立学校の三年以上、先をいっていることもあるほどです。…… さらに公立学校間の格差も凄まじく、住んでいる地区によって学校のレベルが大きく異なります。トップ校は全国統一試験で首位を競うほどなのに、「底辺校」は刑務所帰りの生徒がいたり、学校の周りで麻薬取引が行われていたり、ナイフで生徒同士が抗争を繰り広げていたり、といった感じです。…… 低所得の外国人も多く、イギリスの場合、生徒の80%以上が外国人で、英語が不自由なために授業が進まないということもあります。親があまりにも貧困なため、一日の中でまともな食事は学校の給食だけで、さらにその給食費を政府から免除されている家庭もたくさんある。…… 反対に、「トップ」のレベルも日本とは雲泥の差といっていいでしょう。私立の場合、学費は一年間で500万や600万というところも存在します。これでは日本と比べものにならないくらい教育格差が生まれるのも当然です。(2巻 p.92~95より引用)
◆◆◆
要するにこんな高度な教育に付いていくためには生徒側に素養があるだけでは足りず、それこそSPY&FAMILYのイーデン校のような私学に通えるだけの財力と有力なコネとを備えた「親ガチャ」に恵まれた家庭 ― つまり著氏が言うところの、大量の移民の流入によって今や「絶滅動物のようになってしまった」生え抜きのプロテスタント白人エリート層に生まれる必要があるということなんですね。よくよく考えて見るに教科書で扱っている内容からして広義の帝王学っぽいし、生活基盤が劣悪で結果モラルも低い移民や労働者階級は端から対象外と見做しているのでしょうね。
>結局「隣の芝生は青い」と思うのが人間の性
あと諺を付け加えるなら「住めば都」も当てはまるんじゃないかと思います。給料が30年間上がらないことを含めた「ある意味慣れ親しんだ想定内の不自由さや不満」については、人は割と耐え忍べるものではないでしょうか。例えば四国に暮らす私からすると、年末の新潟とかの豪雪のニュースを聞くたびに「東日本では到底暮らせないなぁ」と思いますが、東北や北海道に居を構える方からすると「高確率で当たる“台風ガチャ”に毎年強制参加させられる西日本で暮らすなんてマジあり得んすわ」らしいですし。
ただこれが「ご近所さんがみんな等しく不自由」とかならまだ我慢できるんでしょうが、例えばこの中から早々にFIREを達成して悠々自適な暮らしを送る階層が出現するようになると、欧米同様一気に社会が不安定化するのだろうし、実際その方向に移行しているんじゃないかとも思いますね。そういやちょっと前に再読した故・山本七平著『昭和東京ものがたり』でも、関東大震災から五・一五事件、ニ・二六事件を経て日中戦争勃発へと至るまで、社会格差が徐々に拡大していくと同時に、社会不安もまた増大していったことについて触れていましたっけ。
>『最貧困女子』
読了しました…が、正直著者の鈴木氏のメンタルが余りに繊細過ぎるのが気になって、記事内容が余り頭に入って来ませんでしたw(苦笑)。
それはさて置き、一読して思ったことは、ズブの素人が一時の情に絆されて迂闊に手を出すべき案件では無いように感じました。(冷たい言い方かもしれませんが)「トコトンまで関わる覚悟も具体的な救出ノウハウも持ち合わせていないのなら、そんな「面倒くさくて可愛らしくない」彼女らに最初から係わるな」と著者には言いたいですかねぇ~。
>鎌状赤血球症とマラリアの関係
似たような話だとこの記事を思い出しましたね(↓)。まぁ鎌状赤血球症と下戸であることとでは、その深刻度に置いて雲泥の差がありますが。
https://toyokeizai.net/articles/-/578311