「オンブラ・マイ・フ」(その1)
「オンブラ・マイ・フ」(Ombra mai fu)は、ヘンデルの作曲したオペラ『セルセ』(Serse, Xerxes)第1幕冒頭のアリアで、ペルシャ王セルセ(クセルクセス1世)によって、プラタナスの木陰への愛が歌われています。
このオペラ『セルセ』は、ヘンデルの死後、次第に上演されなくなりましたが、「オンブラ・マイ・フ」だけが19世紀になって、「ヘンデルのラルゴ」という名称で愛唱されるようになりました。元来は、カストラートのための曲ですが、今日は主に声域が近いソプラノにより歌われています。日本でこの曲が有名になったのは、ソプラノ歌手キャスリーン・バトルによる歌唱の映像が、昭和61(1986)年からニッカウヰスキーのCMに使用され、売り上げにも貢献したことが挙げられこの影響もあり、翌年の第38回NHK紅白歌合戦では、初出場の佐藤しのぶが同曲を歌唱しました。
スーパーニッカCM キャスリーン・バトル
昭和62年(1987年)/第38回 紅白歌合戦 佐藤しのぶ
同時に、この歌は、ボーイ・ソプラノでも歌われていますが、ボーイ・ソプラノとしての最後の歌になっていることも少なくありません。それだけ、ボーイ・ソプラノにとってこの曲は難曲とも言えます。
ハンス・ブッフヒール(Hans Buchhierl)
アレッド・ジョーンズ(Aled Jones)
サーシャ・チェルカス(Sasha Cherkas)