平成以後の童謡・子どもの歌(その1)
本来、先週公開予定でしたが、他の記事が多くあったため、母屋の文中にリンクを貼っていたことから、後回しになりました。
平成から令和初期(1990年代〜2020年代初頭)にかけての童謡・子どもの歌には、次のような社会的背景やメディア環境の変化が大きく影響しています。
① 映像メディアとの融合
テレビだけでなく、YouTube・SNS(TikTok・Instagram)での拡散を意識した楽曲が増加してきました。また、ダンス・MV・キャラクターとの連動が人気を高める重要要素になってきました。
例:『パプリカ』『エビカニクス』『からだ☆ダンダン』
② J-POPとの境界の希薄化
米津玄師、DAOKO、つんく♂などのメジャーアーティストが子ども向け楽曲を手がけるようになってきました。
そのため、メロディ・アレンジ・歌詞の水準が高く、親世代との「共有ソング」としてヒットしてきました。
③ 「感謝・命・多様性」など教育的メッセージの重視
阪神淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)以降、いのち・つながり・自然・平和をテーマにした歌が目立つようになってきました。
卒園・卒業向けの「感謝の歌」「別れの歌」がたくさん作られるようになってきました。
④ かわいさとナンセンスの同居
伝統的な童謡の「ナンセンス」な要素も再評価され、楽しさ・笑いを大切にした作品も健在。
また、保育現場では「踊って遊べる歌」が人気を集めました。
「にじ」(作詞:新沢としひこ 作曲:中川ひろたか 平成2(1990)年)
月刊誌『音楽広場』にて発表された童謡ですが、一過性ではなく、幼児だけでなく、今でもいろいろな世代で歌い続けられているところが特徴と言えます。
横須賀芸術劇場合唱団少年少女合唱隊
「世界中の子どもたちが」(作詞:新沢としひこ 作曲:中川ひろたか 平成2(1990)年)
未来の担い手である子どもたちへの期待と、国際理解をテーマにした曲で、今でも歌い続けられています。
倉敷児童合唱団
「しあわせ運べるように」(作詞・作曲 臼井 真 平成7(1995)年)
阪神・淡路大震災からの復興を願って作られた被災者である神戸市の小学校教師 臼井 真によってつくられた曲です。
奏やん
「だんご三兄弟」 (作詞:佐藤雅彦 作曲:内野真澄・堀江由朗 平成11(1999)年)
タンゴ系の童謡であり、また同曲の主人公である三兄弟の串だんごのキャラクターで、一時期は社会現象になるほど爆発的な人気を博しました。
NEUTRINO
「ぼよよん行進曲」作詞:中西圭三、田角有里 作曲:中西圭三 平成17(2006)年)
NHK教育テレビの『おかあさんといっしょ』の2006年4月の「今月の歌」として発表された曲で、ユーモアと元気を与える曲です。
ゆうぞうお兄さん、しょうこお姉さん