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廃寺に寄るわよ、と鏡子さんは言った。
両子寺まで彼女にハンドルを預けてみたら、もう寄り道とは──まあ、いいか。
「←西専寺」という案内板のままに県道から入ってみたら、行き止まりだった。
それも個人宅の駐車場で。
やっぱり迷っちゃった。
県道に戻りましょう。
車を置いて、歩きましょう。
鏡子さんは車をバックさせる。
曲線をなめらかに操舵する。
そして、途中の個人宅のコンクリの前庭に乗り入れた──方向転換。
そこに、少女がいた。小学3、4年生ぐらいか。
一人でシャボン玉を飛ばしていた。
鏡子さんは、その子に頭を下げた。
庭(駐車場)を使わせてもらったことへの黙礼だろう。
少女も、黙って頷いた。
ただ、それだけのことだった。
・・・・・・旅先ではよくあることだと思う。
なんでもない出来事や風景に大きな意味があるような気がして、価値観も優先順位も関係なく心に刻んでしまうことが。
あの少女がシャボン玉で遊んでなかったら記憶にも残らないのは間違いない。
一期一会とは、こういうことか。
もう会えないのか。さびしいものだな。
ハンドルを握っていた鏡子さんには、彼女と黙礼(目礼)を交わす幸運が与えられた。羨ましいな。
──拈華微笑(ねんげ-みしょう)。
知る人のほうが少ないであろう仏教用語を思い出した。
★★★★★
≪3月24日(月)≫
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3:48に起きた。
5時に、三毛猫が来た。
さらに、7時までに三毛仔猫、銀子猫も。
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冷凍バナナ、食パン、焼売、生野菜。
アニメ「先輩はおとこのこ」が最終回だった。
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7:20に、昨日整備した乗用車【クリッパー/JA27CR】で出勤した。
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勤務8:00~17:00。
朝一番に、金曜日にヤツがかき回した「記念品(ノベルティ)の管理ボックス」を真っ先に開けた。
──言葉を失った。
添付の明細表をシュレッダーにかけていた。
こいつ、やるべきことは命令されるまでやらないくせに、やってはならないことは勝手にやるらしい。
頭がおかしいとは思っていたが、ここまでとは。
謝罪より意味不明の言い訳が先になる男だ。
子供のイタズラにやられたのだと諦めて、明細表は30分かけて作り直した。
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退社後、[Sマート]で、コジカカードをチャージしてボーナスポイントを得た。
ついでにチキンナゲットなどを買った。
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帰宅すると、黒猫、三毛猫、三毛仔猫、銀子猫が来た。
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食パン、チキンステーキ、惣菜、うどん、はったいの粉、ハニーコーヒー。
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職場の馬鹿野郎にあそこまでやられても、キレなかった私──大人になったものだ。
クリッパーの爽快感や甘い飲み物のリラックス効果のおかげだろう。
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