団地暮らしの自転車通勤 まるまる
団地暮らしの自転車通勤
いつもと違う出口に向かう
今日はちょっと 寄る所あるから
背中で聞こえる
おはようございます
誰かと誰かで始まる朝
そのまま過ぎるつもりで ふと
ブレーキ
声は私に届いた気がして
振り向いた
あ あの清掃の方がいる
いつも笑顔で人懐っこい
どことなく
誇りの高さの窺える
掃除用具から手を放し
いってらっしゃーい
両手を大きく振っていた
私に両手を振っていた
口をついて
ありがとう!
私の気持ちはほとばしり出て
掛け替えのない朝になった
通るはずのない団地の出口
声を受け取れた自転車の私
見つけてくれた清掃の方
交わした その一言で
それまでの日々が形になった
お互いの気持ちが たった今
出会えたことで ひとつになった
心が いっぱいになって そう
ここは特別な団地
通勤の慣れた道
自転車は笑って漕いだ
会社まで ずっと