◆ここは「MY DEAR投稿掲示板」です。
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また、詩人に向け成長を目指したいという方もこの掲示板をご利用下さい。
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ここから詩人として巣立った人は数知れず、です。あなたの詩を継続的に見守り、詩の成長を助ける掲示板です。
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お気に入りのフランス菓子店で
洒落たパピエに包まれて
私のもとへとやってきた
ティーカップ
フランスを愛する店主が
ひとり旅の途中で出会ったという
ピンクの小花が
レースのように編まれたアンティーク
食器棚の一番上で
ときめきを纏ったまま
長いこと
眠りについていた
そっと
ガラス戸を開けて
色褪せないあの絵柄を
取り出してみる
触れれば折れそうなほど
華奢なハンドル
縁にやさしく吹き付けられた
翳りのある金彩
ひたむきに時を重ねた
細かな擦れやシミに
かつてこの器を愛した人の
手のぬくもりが
ひそやかに息づいている
行ったことのない薔薇の庭も
遠い異国の街角も
指先でその縁をなぞれば
紅茶の香りがするようで
手のひらに
その重みを受けとめ
温かいお湯を注ぐ
百年の眠りから
目覚めるように
いつかの夢が
湯気となって立ちのぼる
one. born to make mistakes
また、やってしまった。
深夜のドラッグストアで、
胸いっぱいの錠剤を買う。
星空は、疎ら。
あたしの星座を探すことすらせず、
今日はコーラで噛み砕く。
生まれ星座の形も知らない。
スマホから古い音楽が流れる。
進めるだけ、
進む。
気が向いた時には、
走る。
でも、すぐに休んでしまう。
あれ?
かけっこは得意だったんだけどな。
two. born to run
銀杏並木の街道沿いを、
歩く。
この季節は匂いもなく。
老婆のうしろを
つられてゆるりと、
歩く。
信号機は気まぐれに替わる。
深い海の色ではなく、
すぐに溢れ出す血の色。
止まれ
信号機の点滅をカウントしても、
スタートダッシュを躊躇する。
老婆はカートを押している。
あたしの手は温かだ。
そっと彼女に手を添える。
つたわれ
それでも、いつまでも進み出せずに
昼間っから、星をさがした。
あたしが生まれたとき、
きっと輝いていた。
鋭い言葉の大嵐
喉をつんざいて血飛沫
触れたくもないのに飲み込んで
後味で吐き出すんだ
満ちない言葉の晩餐会
喉元過ぎれば味気ない
あれもこれもとぱくついて
空の皿眺めるんだ
求めては吐いて
つまんではポイって
いつまでも空っぽな心に焦っていたら
色褪せて
「呆れた」
僕に刃が向いた
たったそれだけのことだった
コトバのせいで踠いている
コトバのせいで揺らいでいる
消えてしまいそうなほどに苦しくて
ほらねこんなに血まみれ
ただ認めてほしいだけなんだ
ただ満たしてほしいだけなんだ
涙も光となるような
全て塗り替えてくれるような
そんな言葉を探している
探している
正しいことを
言っているはずなのに
口の中、べたべたで
正しいことを聞いてるはずなのに
耳の中、べたべたで
正しいことをしてるはずなのに
体の中、べたべたで
乾かしたくて
風を入れると
かさかさでいたい
べたとかさの間のどこかに
ぼくはいるのだろうか
屋根は瓦を必死に抱きかかえる
朽ちてゆこうと自分の存在をこぼさない
しかし草木はコンクリートを破り
戸口にまで迫っている
人が出入りしない家に
出入口など必要なかろう と
草木が家を滅ぼすと
人はそれらを刈り取り
そこに新しい家を建てる
洗練された
知恵で裏打ちされた
こころゆたかに暮らすための家を
そのひとつのチャイムを鳴らす
返事を待つ間は
そこが真空になったよう
真空の時間がしぼみ
あたりがふたたび呼吸し出すと
わたしもふっと息をつき
黙然とした玄関をあとにする
車に戻り 青いペンで書きつける
「◯月◯日 訪問・不在」
いくつもの真空にもぐっては浮き上がり
とりどりの家の間を遊泳す
季節(とき)は夏
蝉が鳴けば鳴くほど
あたりは静けさに包まれる
あたらしく塗り替えられるまちに
誰の姿も見当たらないので
入道雲の峰の影に
何かを見つけようとする
世界は存在しない
何という美しい言葉だろう
事象が起こり
連鎖していく
運命は存在しない
何という革新的な言葉だろう
ただ
生まれて
死んでいく
海の匂いがする
迷妄たる私よ
真実に
気づきたまへ
神も悪魔も
幸運も不幸も
いや、闇と光さえ
単なる事象に過ぎない
世界は存在しない
人間は
ただ
それだけ
積み上げられた書物
鏡の中の自分たちの投影
森羅万象
すべて、名に過ぎない
幻は今
消えていく
✳
意味づけが
名を繰り返し
存在していると
想像する
石塊は土に
龍は神話に
数式は数を
重なることはない
事象が起こり
連鎖していく
森羅万象が
消えていく
運命は存在しない
何処でもない
暗闇の中で
潮騒が
音をたてている
波の音
潮の匂い
それだけ
迷妄たる私よ
汎ゆる事象は
世界に存在しない
ルドベキアを
ひまわりと称して飾る偽物の夏
月に本当の僕がいて
今頃は月の花々に水やりしている
照り付ける太陽と散水シャワー
水しぶきと大地を踏む足の感触だけが現実で
本当の僕は無敵じゃない
街灯の下で潰えた黄金虫
探さなくていい
此処にあるから
信じなくても
汗が流れる
右手で拭う
瞬き伏せる
本物の夏
チャリチャリ チャリチャリ
待ちに待った 晴天の日曜日
カレーパンが おいしいと噂の店
家族を 起こさないように家を後に
クロスバイクの ペダルを軽く踏む
心をときめかせ お店のドアを開ける
小さな店内は 焼き立てのパンの香り
僕はトングを カチカチ鳴らしながら
カレーパン売り場に一目散
運よく 揚げたてのカレーパンが 僕の前で並ぶ
三種類のカレーパンを 一つずつ
会計は手早くバーコード決済
チャリチャリ チャリチャリ
ペダルが軽い
カレーパンの暖かさを 背中に感じる
家まで我慢ができない
部活に出かける高校生を横目に
小さな公園のベンチで カレーパンにかじりつく
カレーのピリリとしたほどよい辛さ
「おいしい!」
揚げたてホカホカのカレーパン
これは他の種類も楽しみ
残りも食べたい衝動を抑える
ペダルは ますます軽くなる
あとは家まで一直線
息は上がるが苦にならない
チャリチャリ チャリチャリ
思い出した
家には昨日の鍋いっぱいのカレー
とたんにペダルが重くなる
ママすきだよ
パパすきだよ
わたしはかぞくにすきだよっていえる
すきだから
わたしはともだちがすきだよ
わたしはともだちにすきだよっていえる
すきだから
わたしはレンくんがすきだよ
でもね レンくんにすきだよっていえない
すきだけど
すきとすき
おんなじすき
でもちがうすき
かぞくとともだちがすきはあったかいんだ
レンくんがすきはムネがくるしいんだ
すきだよっていいたいよ
なかよくなりたいよ
でもすきがちがうからいえないんだ
どうしたらいいんだろう
むねがくるしいよ
だれかおしえて