流星群 山雀詩人
目が覚めると君がいた
目の前に
向かいの席の片隅に
まっすぐに立っていた
すごいね
こんなときでも
君は強気な背骨だね
いたいけなくらいまっすぐ
君は淡いピンクの無地で
広げたらさぞきれいだろう
雨の日にはまるいしずくが
流星みたいにつたうだろう
君が忘れられたということは
雨はもうやんだのか
窓の外はまっ暗で
何にも何にも分からなかった
ただ電車の走る音のみ
ゴトゴトゴト ゴトゴトゴト
ココハドコ ココハドコ
とでも言うように
本当にここはどこだろう
僕らは闇をひた走る
降りるべき駅は過ぎ
車内にはもう誰もいない
もしかしたらここは
この世の果てかもしれないね
もうすぐ線路がぷっつり切れて
崖から飛ぶのかもしれないね
いいよ、それならそれでいい
だって僕には君がいるから
まっさかさまに落ちたらさ
君を広げて落下傘にするから
きれいだろうな
闇にピンクの花一輪
雨が降ったらなおいいな
それこそ無数の流星が
君から落ち
僕も落ち
だからみんな止まって見えて
僕をぐるっと囲むだろう
まるで宝石を散りばめたよう
小さな宇宙が生まれたよう
その中を僕は進むよ
そうだ、僕も流星なんだ
って何を言ってるんだろう
もしかして寝ぼけてるのか
本当にここはどこだろう
今日ちゃんと帰れるのかな
外を見て驚いた
まっ暗だった空に
無数の星がきらめいていた
まるで宝石を散りばめたよう
流星だ、流星群だ
上だけじゃない、はるか下まで
そういえばさっきから
電車の音がしていない
僕は急いで 君の手をつかんだ