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スレッドNo.1036

朔月の光 白猫の夜

星を見たくなって
夜を見たくなって
窓を割って
格子を歪めて
飛び出したんです
はしって
はしってはしって
はしって
血みどろになりながら
アスファルトの上を
砂利道を
けものみちを
走って
走って走って走って
走って

息を切らしてたどり着いたそこは
足の裏をくすぐる柔らかな草原で
たどり着いて見上げたよぞらは
一面の鉱石が
流れる鉄屑が
やさしく煌めく光の束が
明かりひとつない真っ暗な世界を照らして
駆けて
駆けて
駆けて

のびる朔月の手
大地をふわりとひと撫でして
私の黒い涙をそっとさらって

すべてを、ゆるして

頽れる私は弱い人間だから
何者にもなれないただのヒトだから……

傷だらけの足についた枷を手慰みに
つまらない日々を送る中に
今でも時折星が見たくなって
格子のついた窓の奥からまた
夜が欲しくなる

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