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スレッドNo.1046

ちがい  樺里ゆう

テレビから流れてきた
希死念慮という言葉

「希死念慮って何だっけ」
と言う母に
私は内心 えっ と驚きながら
「しにたいと思うことよ」
と答えた

すると母は
「あ~~……わからんかった
自分には縁のない言葉すぎて……」
とはにかんでいた

幸せなことね、
と思うと同時に
ああほんとに母と私は
違う人間なんだなと
やっと実感した

私は十六歳や二十歳のとき
毎日のように
病気になれたらいいのに
今この横断歩道にトラックが突っ込んできて
私をはねてくれたらいいのに
なんて思っていたことを
今も覚えているし
忘れちゃいけない、
忘れずにいたいと思っている

母は若い頃 一度も
生きていくのが嫌だと
思わなかったんだろうか

それとも
負けてたまるかと
踏んばっていたのか

はたまた
考える余裕もないほど
忙しかったのか

それとも
月日を重ねるうちに
忘れてしまったのだろうか

いずれにせよ
親子だってこんなにも
違うんだから

わかりあえんくたって
別にいいや

ああこれからは
もう少し
母にやさしくなれそうで
よかった





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投稿エラー対策のため,第二連の言葉をひらがなにしてあります.
お手数ですが漢字に置き換えて読んでいただければ幸いです.どうぞよろしくお願いいたします.

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