過ちへの備忘録 白猫の夜
へどろが溢れてしまいそうな夜に
涙を流しながら散歩に出る
口ずさんでいる歌は次第にとまり
野良猫が私を胡乱げに見下げる
過ちを悔いて
震えながら生きて
腹の中が伽藍堂になって
ふと歩みを留める
足元のとんがった砂利を拾う
口元に運んで食んで砕く
食んで砕く
食んで砕く
咀嚼して、
飲み込んで。
多少マシになった空腹と
満たされない心の穴と
過去の自分は嘲るかな
今の自分が未来を呪って
未来の自分は消えたくなるかな
涙となったへどろが影を作り出し言い放つ
お前は本当に屑だよ。と
かき消すように地団駄を踏んで
悲鳴ともとれる声で叫んで
ただ、ただ、呆然と立ち尽くす
初めて自分を悔しいと思った今日も
いつかは過ぎ去り過去になる
未だ無い日に陰らないように
止めていた歩みを進めて
散歩道から帰路に着く
心残りは置いていこう
いつか迎えに来れるように