さがす日々 大杉 司
私は探している
子供の頃大事に持っていた玩具や絵本を
日が暮れるまで探している
こんなに熱中して物を探すのは
久し振りだった
押入れに隠れて一人考えた
子供の頃の自分と今の自分
何が変わっただろうか
背が伸びた?体重が増えた?
挙げれば切が無かった
あの頃はとにかくわんぱくで
怖いものなしだった
今はどうだ
近所の子犬に吠えられては
驚いて肩をビクリと震わせている
そう思うとあの頃が羨ましく思う
何事にも怯まない精神と活発さ
それは大人になるにつれて自然と消えていた
今はとても苦しい
大人とはこうも退屈なのかと常々感じては
何もすることが出来ない自分を責める
非常に苦しい
異常に苦しい
そのような考えをするのはもうやめよう
そのような考えをしても何も変わらない
私は押入れから出て玩具や絵本を探す
じめじめとした空気を吸いながら
気付けば外は真っ暗だった
探す事を中断して買い物に行こう
今夜は何を食べようか