山茶花 ゆき
カーテンを開けて
窓から見下ろすと山茶花の花が
地面に散らばっていて
もう秋はここにはないのだと
教えてくれた
目を見張るような鮮やかな花びらが
癒してくれたのに
短い秋はもう僕を通り越してしまったようだ
厚手のセーターを探しながら
ため息をつく
冬はやってくる
青白い早朝と共に
吐く息が白くなって
肌が痛くなるほどに
日毎に凍えていく
そのうちに雪も降るだろうから
マフラーも探しておこう
初めて貰った手編みのマフラーは
今でも僕のお気に入りだ
二人で煌びやかな
クリスマスのイルミネーションを
観にいった時に写真を撮るのに夢中になって
寒さも気にならないでいると
風邪ひいちゃうよと
後ろからそっとかけてくれた
雪の中の散歩で
繋いだ君の手が暖かかった事も
来年もよろしくねと笑った
可愛らしい笑顔も
まだそんなに前の事ではないのに
思い出に変わっていきそうで
山茶花の花が散って
君からの返事が来なくなっても
君が戻って来るまで
寒くて凍えそうな夜も
僕は一人で過ごすだろう