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スレッドNo.1094

感想と評 11/18~11/21 ご投稿分  三浦志郎  11/27

1 秋冬さん 「ひらがなで」 11/18

う~ん、正直に書かせて頂くと、僕は漢字のほうが好きなんですが、ピンポイントで変化をつけたい時使いますが、それほど頻度は高くないように思います。しかしこれは現実のはなし。ここからはこの詩のはなし。この詩の世界に入り込んで読むと、フィーリングも論旨(というか動機)も充分通っていて納得できるものです。上段に「動機」と書きましたが、まさに「漢字テスト~」から「難しい顔をする」の動機の部分がおもしろく読めました。結果としての「ハードルが下がった」「こころがしずかに」「へいわになる」の提示も当を得ています。この詩では「ひらがなで書く」とはひと言も言ってなく「ひらがなで考える」です。ここがこの詩の由縁たる部分でしょう。考え方として「肩肘ばらずに、静かに、しなやかに、ゆっくりと」そんな提唱があるでしょう。詩の手順としても「状態→原因→結果」と踏まえていて、流れも正調で、わかりやすさを得ていると思います。敷居の高い詩ではないのですが、そうですねえ、あまめかさくで。

アフターアワーズ。
漢字って時に狷介(けんかい)で気難し。時に僕らを困らせる。
ひらがなって、柔らかい表情で僕らにそっと耳打ちしてくれる。


2 山雀詩人さん 「空」 11/19

この詩は佳作です。「*」を境にして、この詩は明らかに分断され、別物に位置付けされますが、
“そうであればあるほど、しっかり繋がって”います。別種のマテリアルにより、ひとつの魅力的なストーリーを醸しているのです。 
こんな感じ。

前半→→「テーマあるいはストーリー」←←後半。

前半は、あくまで小鳥自身の可愛い独白。まだ元気ハツラツです。このパートはメジロの飛ぶことへの喜びに溢れています。それだけに全く暗転の後半です。透明なアクリル板とメジロの視力。ズバリ書かなくても、誰しも一目瞭然でしょう。その事態を取り囲む詩行が、光景も交えながら、主人公の心情が痛いほどわかる。メジロの無念も痛いほどわかる。死んだ小鳥は「黄緑色の小さな小鳥」とあるから、前半独白の“あの小鳥”なのでしょう。「痛かったね/びっくりしたね」と語りかけながら葬るこの人の愛惜と優しさがこの詩を美しいものに押し上げます。最後も印象的。涙が出たのでしょう。前半が朗らかであればあるほど、後半の痛みには絶望がある。救いはないのか?
いや、あるのかもしれない。葬り葬られるものの存在でしょうか。タイトルもこれでいいです。


3 晶子さん 「震える~誰かの声が吊るし上げられる時~」 11/19

おそらく、この詩の対象になっているのは、いじめとか虐待を受けている人々で、この詩のご本人はメディアを通して―テレビとかSNS等―接しているのが推測されます。(自分ならどう接してあげられるだろう?)そんな疑問から世の風潮のようなものを考えて行く姿勢が感じ取れます。
初連でやや腑に落ちないのは、冒頭の「友達」と「抱っこします」の相関関係です。前者はどうしても、ある程度歳のいった人間を想像させます。それと後者との繋がりにやや違和感を感じました。
ひと昔前だと「頑張れよ」で済ませていたのですが、今は必ずしも、それだけでは片づけられない正当性と複雑性を、この詩を読んで感じています。まずは相手の立場に立って誠実に話を聞いてあげる。さて、その先は……?正直、僕はわかりません。そのあたりの難しさが、この詩にもあるような気がする。そんな雰囲気が終連に出ている気がしました。そして、この部分は論理が少し掴みにくいと裏腹の関係にある気もするのです。結論めいたものは見当たりませんが、それでいいと思います。結論は急ぐべきではないと思います。 佳作一歩前で。


4 エイジさん 「舌足らずの短文」 11/19

やや結論を急いで書いてしまうと、全5連。2連~終連まで、非常に気高く意味深い事が書かれているのですが、初連のみ、負の方向でやや異質……な気がしました。そう考えると、まずタイトルが少し違うような気がします。それに影響され、初連を改良する必要を感じます。2連以降に合わせる感覚が欲しいと思います。2連以降はどういった心情か?おそらく言葉を扱う者―詩人―への協賛となるべき励ましの詩であるという点です。当然、この中の最初にエイジさんが含まれることでしょう。以下は評を離れるかもしれませんが、体験談を書いてみます。
2、3連に関して。今年の初めに僕はある曲を聴きました。すると脳内にあるものが浮かんで来ました。それは「あるもの」としか言いようがなくて、言葉とは全く別物で、言葉による翻訳は不可能だと強く感じました。結局、僕はその曲を詩にしましたが、脳内にあったその「あるもの」の近似値にかすったかどうか、そんなラインだと感じたのでした。そして終連。これは、ある意味、詩の本質を衝いてるような気がします。「貴方独り」とある通り、詩は“エゴ”と言ってもいいほど極めてパーソナルなもの。いっぽう、「人の心は読めない」とよく言われますが、詩もそれに準ずるもの。極端に言えば読み手が作者自身に変身しないとわからない。でも、それでは困るので、詩は解釈の許容度を広めに準備している。よく「詩は作者を離れると、一人歩きする」と言われますが、作者の意図と読み手の解釈に違いが出て当たり前。出ない方がおかしい。そう考えると作り手と読み手は「近似値」という世界でやりとりしているのかもしれない。そういった不完全性の中でも詩は気高く成立していますが、その不完全性に焦点をあてると、この詩のタイトル「舌足らず」も一面、真実を衝いているように思えてきました。殆ど評になってなくてすみません。微妙な作品に微妙な評でありました。とりあえず、佳作半歩前で。


5 じじいじじいさん 「キラキラテラテラ」 11/19

オ、オノマトペ、そう来ましたか……。しかし、オノマトペ一発で詩全篇をキープするのはなかなか難しい。そのあたりを見てみましょう。初連は概観的ないわゆる“つかみ”ですね。2連で踏み込んだ星のありよう。オノマトペも利いてます。3連は後半がちょっと手持ち無沙汰な印象です。僕のリクエストとしては、後半2行をもう一歩踏み込むか、あるいは「わたしとほしのがっこう」を受けて、具体的描写的にもう1連あってもよかったかな、と……。「ほしとわたし」みたいなニュアンスです。

「キラキラ ちいさいほしさんと 〇〇〇」
「テラテラ おおきいほしさんと〇〇〇」

みたいな感じですかね。 佳作一歩前で。


6 おおたにあかりさん 「土曜日の公園で」 11/19

ペカペカとは、どういった塗り方だったのか、大変興味がありますね。それと、ペンキ塗りたてで、
お子さんが滑って大丈夫なのか?(普通は避けないか?)ちょっと気になるところです。このあたり
推敲力が関わって来そうです。まだ塗って日が経ってない(つまり真新しいの意)のことだと思われますが、混乱を避けた書き方が望ましいですね。「嗚呼」はこの詩のキャラからいって「ああ」がいいでしょう。「この服には、こっちのアクセサリーのほうが……」の感覚ですね。逆に5連の助詞抜きはすごくかっこいいです。過去作と比較すると、今回はちょっと平板だったかな?といった思いがあります。お子さんの事もさることながら、たとえば、自己に思いを致すシーン、エピソード的にもう少し広げて山を作ってもよさそうです。佳作一歩前で。


7 荻座利守さん 「小さな中庭」 11/20

大学病院の、それも法医学教室から、何故ピアノの音がしてきたのか?それら建物とピアノが結びにくいものなので、少し奇異に思いました。事実ならば、その場面や因果関係に大変興味がありますし、、もしフィクションならば、ピアノ自体がこの詩に与える影響は薄いので、何か入れ替えたほうがいいように思いました。そのくすんだ表示板、確かに衝撃的です。今も遺族の苦しみ、悲しみ、無念が沈殿しているような気配があるのでしょう。そこから荻座さんは想念を抱き詩化していきます。場所の性質上、事故や事件に関わる死が多かったでしょう。当然のように、この詩のように「正義」が問われるでしょう。その隣在としての事実も探求されたに違いありません。重いテーマを臆することなく書かれています。そこをまず尊重したい。その考えの裏側で以下の事も考えています。「遺族待合室」のみでも充分書けた。事実、そういう部分が多いのです。しかし「中庭」をタイトルとし、部分において役割を果たさせている、ここに僕は僅かな意外さを持ったのですが、おそらく、この陰惨なテーマを少しでも中和させ、穏やかなものにしたかったのかもしれない。そうすることによって、死者への鎮魂と遺族の慰めとしたのかもしれない。そうなるとピアノの音もそういった心情に参加させたものかもしれない、そんな風に思えるのでした。甘め佳作を。


8 紅桃有栖さん 「恋愛論」 11/20 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。

よろしくお願い致します。ペンネーム何と読むのでしょうかね。「こうとうありす」さんですかね。
詩の内容はよくわかりません。代わりに散文詩について書いてみます。全く僕個人の勝手な考えですが……。
散文詩が小説と違う点は“予定調和しない(あるいはさせない)”ことだと思います。話の筋、論理、修辞、表現、全てにおいてです。現代の散文詩はこの点が顕著だと思います。何が言いたいかというと、この詩は上記路線に沿って書かれていると思えます。傍証を挙げると……「恋愛→美の看板」「氷のような炎」「水晶のナイフ→火を抱いて眠る少年」「突然出て来る酒のモチーフ」など。ところで散文詩にはふたつのスタイルがありそうです。

〇 小説寄りの散文詩
〇 詩寄りの散文詩(散文詩も詩であるのに“、詩寄り”とは論理矛盾ですが、あくまで便宜上で)

この詩は後者で書かれているのがよくわかります。そして、これは詩人の誰もが書けるものではないことを、この作品、この作者さんに向けて、ひとつの評価としてコメントしておきたいと思います。
ところで、後者の散文詩を、詩人でなく(詩を書かない)一般人が読んで、どういった感想を持つかは、また別問題になりそうです。 また、書いてみてください。


9 白猫の夜さん 「過ちへの備忘録」 11/20 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。
よろしくお願い致します。ペンネーム、それ自体が詩のタイトルのような―個性的ですね。
まず、中途半端についている(と感じられる)句読点は全て外して構いません。よくひとマス空けると、心理的に不安になるのか、句読点打つ人がいますが、個人的には静観しますが、無用な事と思っています。初連と2連「へどろ」「砂利を食んで砕く」このあたりが比喩的におもしろいです。気持ちのトーンにも合っています。トーンと言えば、この詩はある事への激しい後悔に塗られていますが、「初めて自分を~」以降、注目しておきたい。何かが少しずつ変わろうとしているような……その総括として終連がありそうです。ここは秀逸。タイトルを回収しに来ました。タイトルを迎えに来れたのです。また、書いてみてください。


10 大杉 司さん 「さがす日々」 11/21 初めてのかたなので、今回は感想のみ書かせて頂きます。
よろしくお願い致します。
無用に飾ることなく、素直に書かれた雰囲気に好感が持てました。玩具や絵本に象徴される子供の頃を探すということは、“大人になってまだ間もない”年代が想起されます。過去とは懐かしく、好んで良かった事、美しかった事を思い出すように出来ているようです。この詩もそんなレールに乗って書かれていることがわかります。(大人になった)現在は進行形であるので、評価が定まらないということはあると思います。そのあたりの屈折が書かれているように思えます。終わり2連目前半あたりが、この詩の落しどころでしょう。終連はこれでいいです。切り返し方がおもしろいです。気分転換にもなるでしょう。また、書いてみてください。


11 朝霧綾めさん 「日曜日のピアノ弾き」 11/21

「ピアニスト」ではなく「ピアノ弾き」としてくれた点、味わいあり。多少自嘲も入ったか?まずは歓迎したいです。ピアノこそ、この上無き楽器の女王。唯一無二。小さなオーケストラ。このような気高い道具と、このように可愛く、お洒落に付き合ってしまうのも、また小粋と言うべきでしょう。弾けないながら、指は置けるようですね。僕なんか、和音さえ置けないですよ。(チューニング時、何処の鍵盤を押すのかも忘れた)このあたりが詩の情景としての肝かもしれないです。訥々となる音が雨音や雨垂れと溶け合う感覚があります。事実、雨のトレモロのようにピアノが聴こえることは多々あります。この詩は音階や擬音も登場させてます。擬音は軽めで可愛い。「ドー」はむしろ、ひょうきんに聴こえて僕はおもしろかったです。軽くメカニカルな点も、臨場感ありアクセントにもなってる。実におもしろいですね。習っている家族がいるそうなんで、軽く教わりながら、しゃれた会話も弾みそう。こんな日でも一日過ごせそう。ピアノと雨の日をカップリングしたのは正解だったと感じています。 甘め佳作を。


評のおわりに。

あるイベントの会場取りを任されたのですが、これが大変難しい。日程、駅近、人員キャパ、格安、時間帯、コロナ対策、装備一式、他者との競争率、他会場との兼ね合い、会場としてのステータス。全て叶うところなど、ありゃしない。まあ、何とか取れて、
よかった、よかった。その後のみんなの評判は? それは措いときましょう。 では、また。

編集・削除(編集済: 2022年11月27日 15:37)

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